バンコク中心部フアイクワーン区で6月14日未明、国境警備警察の警官がバイクタクシー(ウィン)の運転手らに発砲し、1人が死亡、2人が重傷を負った。警察によると、通報があったのは午前2時50分ごろ。運賃をめぐる口論の末に起きたとされ、撃った警官はその後、自ら警察に出頭した。深夜のありふれた料金トラブルが、銃によって一瞬で惨劇に変わった。
運賃の口論からウィンに発砲
カオソード英語版などによると、現場はプラチャソンクロ通り付近のバイクタクシー乗り場。客と運転手の間で運賃をめぐるいさかいが起き、激高した警官が銃を抜いて複数のウィン運転手に向けて発砲したとみられる。仲間の1人がその場で命を落とし、ほかに2人が巻き込まれて重傷を負った。
未明の街なかに銃声が響き、近隣は騒然となった。発砲の瞬間をとらえたとみられる防犯カメラの映像も出回っており、料金をめぐる口論が一方的な発砲に発展する様子に、SNSでも衝撃が広がっている。
出頭した警官、国境警備隊という立場
撃ったのは国境警備警察に所属する下位階級の警官とされる。国境警備警察はタイの治安組織のなかでも、本来は国境地帯や山間部の警備、麻薬密輸の取り締まりなどを担う準軍事的な部隊だ。その一員が深夜の市街地で民間人に銃を向けたことが、事件の異様さを際立たせている。
警官は事件後、自ら出頭した。警察は本人から事情を聴くとともに、現場の防犯カメラ映像や目撃者の証言をもとに、発砲に至った詳しい経緯を調べている。被害者と加害者の間に以前から面識やトラブルがあったのかも、今後の捜査の焦点となる。
バンコクの「ウィン」と絶えない料金トラブル
ウィンと呼ばれるバイクタクシーは、渋滞の激しいバンコクで駅や路地裏から目的地までの短距離を担う庶民の足だ。オレンジ色のベストが目印で、登録制で距離ごとの運賃の目安も定められている。それでも深夜や雨天、遠距離になると料金交渉になることが多く、運転手と客の小競り合いは珍しくない。乗り場ごとに縄張りがあり、よそ者とのいざこざが暴力に発展することもある。
今回はその日常的な摩擦に、本来は治安を守るはずの警官の銃が絡んだ。タイでは民間にも銃が広く出回っており、私的ないさかいが発砲事件にまで発展するケースが後を絶たない。警察官による銃の私的な使用も繰り返し問題になっており、武器の管理と当局の規律が改めて問われることになりそうだ。