タイと欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)交渉が、全24章のうち11章まで合意に達した。直近の第8回交渉で新たに3章がまとまったもので、次回の第9回は6月22日から30日にかけてブリュッセルで開かれる。タイ政府は、ほかの国に先を越されることを警戒し、2026年なかばの妥結に向けて交渉を急いでいる。
第8回で3章を追加、24章中11章まで前進
タイの通商交渉当局によると、第8回の交渉では新たに3つの章で合意がまとまった。その中には、輸入品が急増した場合に国内産業を守るための救済措置に関する章も含まれる。これで妥結した章は、全24章のうち11章となった。
残る章をめぐる協議は、6月22日から30日にブリュッセルで行われる第9回交渉に持ち越される。タイ側は、できるだけ早く全体の合意にこぎ着けたい考えを示している。
競合国に先を越される懸念
交渉を急ぐ背景には、競争相手となる国々が相次いでEUとのFTAをまとめているという事情がある。他国が先にEU市場へ有利な条件で入り込めば、タイの輸出が相対的に不利になりかねない。そうした危機感が、交渉を加速させている。
タイ政府は、EUとのFTAだけでなく、韓国との協定やASEANとカナダの協定など、複数の通商交渉を2026年中にまとめることを目指している。EUとの協定は、その中でも特に大きな意味を持つ。
環境規制への対応が課題
交渉で焦点の一つとなっているのが、EUが重視する環境分野である。EUは脱炭素を進めており、輸入品の製造過程で出る二酸化炭素に応じて課金する国境炭素調整措置(CBAM)の導入も進めている。
タイの製造業がこうした環境ルールにどこまで足並みをそろえられるかが、協定の行方を左右する。FTAがまとまれば、タイの製品はEUという巨大市場へより入りやすくなり、経済全体への波及も大きい。一方で、環境や労働の基準をEUの水準に合わせる負担も伴うため、国内産業との調整が今後の課題となる。