タイ運輸大臣のピパット・ラチャキッチャプラカン氏が2026年4月30日、航空会社協会(สมาคมสายการบิน)と協議し、ジェット燃料JET A-1の物品税を1リットル4.726バーツから0.20バーツへ約95.8%削減する案を検討に入った。これに加えて、空港使用料(PSC)を含む手数料を6ヶ月間引き下げ、航空会社の債務返済を延長する措置もパッケージで提案された。中東情勢による燃料高騰が国内便を直撃し、運航便数が60%以上減っている現状への対応策となる。
提案の中心は1リットル当たり4.526バーツの燃料税削減で、国内便(バンコク〜チェンマイ、バンコク〜プーケット、バンコク〜ハジャイなど)の運賃を1往復あたり約100バーツ引き下げる効果が期待されている。航空会社協会は減税が実現すれば、2026年1月15日〜5月15日の期間に国内便の座席を380万席増やすと約束しており、観光業界へのカネ還流額は220億バーツ規模になると見込まれる。
タイで燃料高騰の影響を最も強く受けているのが航空業界で、原油価格上昇とドル高でジェット燃料コストが軒並み2-3割上がっている。航空会社の運航コストの中で燃料費は全体の30〜40%を占めるため、燃料税削減は直接的な収益改善につながる。同時に提案された「6ヶ月間の手数料減」は、空港運用公団(AOT)に支払う着陸料・乗客サービス料(PSC)を一時的に減免するもので、これによってさらに1往復100バーツ程度の値下げ余地が生まれる。
過去にも航空会社協会は「Buy International, Free Domestic Flights(国際便購入で国内便無料)」というキャンペーンを提案し、外国人観光客の取り込みと国内観光業の刺激を同時に狙う案を出してきた。今回の燃料税減税が実現すれば、この種のキャンペーンと組み合わせて2026年下半期の航空旅客需要を急回復させる可能性がある。一方、減税分の国の税収減は数十億バーツ規模に達する見込みで、財務省・内閣の最終承認には数週間かかる見通しだ。
在タイ日本人にとっては、バンコクから国内主要都市(チェンマイ・プーケット・ハジャイ・コラート・ウドンタニ)への移動費が下がる可能性があり、家族旅行・ゴルフ・出張の予算面で恩恵が大きい。タイ航空、Thai Airways、Bangkok Airways、AirAsia、Nok Air、Thai Lion Airなどタイ国内6社が会員の航空会社協会の主要メンバーで、いずれも国内便の値下げに対応する見込み。日本〜タイ路線の国際便には今回の減税は直接適用されないが、国内便値下げによりタイ国内移動を含む旅行プランが組みやすくなる効果は出てくる。