タイ警察の経済犯罪局(ปอศ./ECD)が2026年4月30日、「AI IOTA」と名乗るチェーンレター式投資詐欺ネットワークを摘発した。容疑者は英国拠点の「AIによる仮想通貨自動取引ロボット」を装って高利回り投資を呼びかけ、被害者から計2,300万バーツ(約1億400万円)を集めて消失させた疑いが持たれている。タイ国内でAIをテーマにしたPonziスキームが摘発されるのは2026年に入って複数回目で、警察は同種ネットワークの追加摘発を視野に入れている。
詐欺の手口は典型的なチェーンレター式(ねずみ講)で、被害者にはまず「AIアルゴリズムが独自に仮想通貨市場を解析し、月利10〜30%の利益を自動で生む」と説明された。投資対象として「IOTA」(実在する仮想通貨プロジェクト)の名前を借用したが、実際はIOTAブロックチェーンとは無関係の独自開発ボットだと主張していた。初期の被害者には小規模の利益が支払われ、それを見た新規投資家が次々と資金を投入する典型的構造だった。
タイでは2024〜2026年にかけて「AI×仮想通貨」を組み合わせた投資詐欺が急増している。先月もACMi(Worawat氏が首謀)による76百万バーツの仮想通貨マイニング詐欺事件が表面化し、同じ手口で「ナナ・ライビーナ」が17人から195百万バーツを騙し取った事件も摘発された。タイ証券取引委員会(SEC)は再三、「ライセンスなしのAIロボトレード勧誘は違法」と注意喚起している。
この種の詐欺は「ロボットが運用するから絶対損しない」「英国・米国・スイスの大手金融機関と提携している」「過去6ヶ月で1万人が利益を出した」という3つの典型的なフレーズを使う。実態はオフショア法人をペーパー設立し、新規投資家のお金で先行投資家に「利益」を支払い続けるだけのスキームだ。AI IOTA案件もこのパターンに収まり、容疑者がオフショアで資金を移転していた可能性が高い。
在タイ日本人にとっても、この種の勧誘は決して他人事ではない。LINE・Facebook・X・WhatsAppグループに「日本人投資家向け」を装った勧誘メッセージが頻繁に送られており、特に駐在員家族・退職後の長期滞在者・フリーランスが標的にされやすい。タイで仮想通貨投資をする場合は、SECライセンス保有業者(Bitkub、Satang、Zipmex等)以外との取引は原則避け、「年利30%超」「ロボットで自動運用」「英国・米国系」を売り文句にする勧誘は詐欺と判断するのが鉄則となる。