タイのコンケン県(จ.ขอนแก่น)の学生寮で、ある女性入居者が「エアコンは寝るときだけ使用、コンピュータ1台のみなのに月の電気代が6,966バーツ(約31,000円)に達した」とSNSで疑問を投げかけ、2026年4月30日にタイの賃貸物件コミュニティで大きな波紋を広げている。月の家賃3,500バーツ(約15,800円)に対し、電気代がその2倍近くに膨らんだ計算で、「工場の電気代みたいだ」と本人もコメントしている。
投稿された請求書から逆算すると、月の使用量は774ユニット、1ユニットあたり約9バーツの単価が適用されている。タイの家庭向け電気料金は2026年4月29日に閣議承認された新体系で「最初の200ユニットは3バーツ/ユニット以下」に据え置かれており、200ユニットを超える部分も4.50バーツ/ユニット程度が標準だ。今回の9バーツ/ユニットは、家庭向け公定料金の倍以上という異常な水準にある。
これは「ค่าไฟห้องเช่า(賃貸電気料金)」と呼ばれるタイ独自の慣行で、アパート経営者がメーター単価に「管理費」「設備費」「利幅」を上乗せして借主に請求するスキームだ。タイ消費者保護法では2018年から「電力公社の正規料金を超えて電気代を請求してはならない」と明文化されているが、地方都市では今も上乗せ請求が横行しており、入居者が電力公社(PEA/MEA)に通報すれば返金や物件側の処分を受けられる仕組みになっている。
SNSコメント欄では「774ユニットは独居でも多すぎる」「古いエアコンでSeer指数が低いと電気を食う」「明らかに不当請求」「契約書を確認したほうがいい」という指摘が相次いでいる。タイのエアコンは省エネ等級「Seer 5(ファイブスター)」が現行の最高ランクで、Seer 5機種では同じ稼働時間でも消費電力が旧型機の半分以下に抑えられる。コンケンを含む東北部はとくに2026年に40度超の猛暑が続いており、エアコン利用が増えている時期だ。
在タイ日本人にとっても、コンドミニアムやアパートを借りる際は契約書の電気代単価を必ず確認することが重要となる。コンドミニアム(PEA/MEA直契約)は単価が公定料金通り(約3〜4.5バーツ/ユニット)だが、賃貸アパートやサービスアパートメントでは7〜10バーツ/ユニットの上乗せ単価が設定されているケースが少なくない。今回の6,966バーツは異常値だが、月の電気代が3,000〜5,000バーツに膨らむアパートは珍しくなく、契約前のチェックは死活問題になる。前回4/30の中小小売店記事(電気代で利益消失)に続き、タイの電気代問題が一般家庭にも飛び火している実態を示す事件だ。