タイ自動車工業会(FTI)が、2026年3月の自動車販売台数が59,865台に達し、前年同月比で7.29%の増加を記録したと発表した。会長顧問兼スポークスパーソンのスラポン・パイシティパッタナポン氏が公表した数字で、3月末から4月初めにかけて開催された第47回バンコク国際モーターショー(Motor Show 2026)の納車効果が販売を押し上げる主因となった。
Motor Show 2026の予約台数は13万台超に達し、そのうち50%以上がEV(電気自動車)100%モデルだった。タイの新車市場ではEVシフトが本格化しており、モーターショーが「予約集中→翌月以降に納車反映」という流れで月次台数を押し上げる構造が改めて確認された形だ。
一方、ピックアップトラックの販売は前年同月比6.36%の減少を記録した。金融機関(ファイナンス)が融資審査を厳格化しており、経済成長率の低迷により購入者の所得が伸び悩み、月々のローン支払いが困難になるケースが懸念されたためとされる。タイの自動車市場の中核を占めるピックアップ層の落ち込みは、経済全体の体温を示す指標として注目されている。
スラポン氏は新政権に対し、2027年度の予算と政策を早急に国会へ提出し、各種投資プロジェクトの早期着工と国内外の投資家からの信頼回復を呼びかけた。サプライチェーンが長く労働力を多く吸収する自動車製造業を刺激することで、タイ経済全体の成長加速と中所得国の罠からの脱出を実現するシナリオを描いている。
3月の数字は、モーターショーという特殊要因による一時的な伸びの側面が強く、4月以降の販売台数がこの水準を維持できるかが焦点となる。EVモデルの納車が続く中、ピックアップ・SUV系の販売回復は融資環境次第という構図で、自動車業界としては政策面のテコ入れに期待を寄せている。