2026年4月28日のタイ閣議は、家庭向け電気代の料金構造を3層に再編する政策を正式に承認した。これは先にエネルギー省と工業相が調整した値下げ案を閣議が引き継いだ形で、6月分の請求から実施される。
新料金は段階制で、月200ユニット以下の世帯は1ユニット3バーツ以下に圧縮され、約20%安くなる。対象は全国2,300万世帯のうち約2,000万世帯。月200〜400ユニットの中位層は3.95バーツの通常レートに据え置かれ、対象は約460万世帯。月401ユニット以上の高使用層は5バーツとなり、ここで段階的にコストを回収する設計だ。
同じ閣議では、石油燃料基金事務局に対する200億バーツ規模の借入も承認された。基金は燃料小売価格を抑制するため日々の赤字を補填してきたが、ここ数か月は補助金の枯渇が続いていた。借入金は2026年6月から8月にかけて運用に使われ、返済は2028年7月から2031年8月まで分割される予定で、燃料・電気の両軸で家計負担を抑える狙いがある。
人事面では、経済政策の決定速度を上げるため経済委員会が再編され、アヌティン・チャーンウィラクン首相自身が議長に就任した。これまで経済関連の判断は複数の副首相・大臣の間で割れていた経緯があり、首相直轄でスピード対応を狙う形となる。
エカナット工業相は記者団に対し、200ユニット以下の世帯で平均10〜20%電気代が下がると説明した。多くの低所得・中間層は暑季のエアコン使用がピークになる4〜5月を高い料金で耐えた後、6月からの新料金で実感できる流れになる。
3バーツ/ユニットというのは日本円で1キロワット時あたり約13円(2026年4月時点のレート換算)で、日本の従量電灯B契約の1段料金(約30円)の半分以下に相当する。「タイの電気代は政策で強く統制されている」と一言で言えばそれまでだが、年2,000万世帯規模での20%圧縮を6月から走らせるという実行スピード自体は、日本の家計支援策と比べてもかなり速い部類に入る。