タイ南部パッタルン県で、地元警察捜査班所属の伍長(ดาบตำรวจ)が、脳障害のある20歳の青年をハイロー(サイコロ賭博)に誘い込み、自身が「親方」(ディーラー)役を務めて10万バーツ以上の損失を与えていたことが明らかになった。被害者の母親が2026年4月、地元メディアに訴え出た。
事件の経緯は次のとおりだ。ある夜、青年が「お母さん、負けちゃった。サイコロでお金が全部なくなった」と電話してきた。続いて「2バーツの金のネックレスを人質に取られた。返してもらうために来て」と頼んできた。母親のユパポン氏(46)が急いで出向くと、青年は警官の自宅(自宅から約100メートル先)にいた。
その場でユパポン氏は伍長と話し合い、「5万バーツでネックレスを返してくれないか」と打診したが、相手側は拒否した。その後、警官とその家族が「いくらほしいんだ」などと高圧的な言葉を向けてきたとユパポン氏は証言している。家族が遺恨なく解決しようとした交渉が、また別の脅迫に発展しかけた形だ。
被害者の青年は常時投薬が必要な脳の疾患を抱えており、判断能力が十分でない状態だ。そうした弱者をターゲットにして賭博に引き込み、金を巻き上げた上にネックレスまで押さえるという行為は、警察官としての倫理に著しく反するとして批判を浴びている。
地元の警察本部は内部調査を開始した。タイでは警官による贈収賄や不正行為が社会問題として繰り返し取り上げられており、今回の件もその一例として世論の関心を集めた。被害者の家族は地元メディアに告発したのち、公式の告訴状も提出したとされる。
タイの賭博法ではハイローなどの私的賭博の開催は違法で、摘発されれば罰金や拘禁刑の対象となる。警官が自宅で賭博場を開いていた疑惑についても捜査が進んでいる。警察官という権力者が弱者を利用したとされるこの件に対し、SNS上では強い非難が集まった。タイ全国警察庁も「不正行為を行った警官には厳正に対処する」と声明を出した。
タイでは近年、外国人が関与する犯罪や経済的動機による事件が増加傾向にある。特にバンコクやプーケットなどの観光地では、観光客を狙った犯罪が報告されるケースも増えている。当局は外国人犯罪への対応強化を進めており、観光業への影響を最小限に抑えながら、法の執行を徹底する姿勢を示している。
タイ警察は2026年から外国人犯罪取締りの3段階作戦を実施しており、全国の検問所と入管の連携を強化している。逮捕者の国籍や犯罪類型の公表も積極的に行われるようになった。
タイの司法制度では犯罪の重さに応じて警察署・検察・裁判所の段階を経る。証拠収集と被疑者の権利保護のバランスを取りながら、公正な手続きが進められる。
タイ警察は2026年から外国人犯罪取締りの3段階作戦を実施しており、全国の検問所と入管の連携を強化している。逮捕者の国籍や犯罪類型の公表も積極的に行われるようになった。タイの司法制度では犯罪の重さに応じて警察署・検察・裁判所の段階を経る。証拠収集と被疑者の権利保護のバランスを取りながら、公正な手続きが進められる。
タイの刑事司法では、重大犯罪に対しては刑期が長く、特に麻薬・人身売買・未成年者への性犯罪は厳しく処断される。一方で警察腐敗の問題も根強く残っており、独立した監察機関の整備が継続的な課題となっている。
タイは人口約7,000万人を擁する大国で、バンコクを中心に経済・文化・政治が集中している。2026年現在、首相アヌティン・チャーンウィーラクーン率いる連立政権は、中東情勢の影響で高まるエネルギーコストと生活費上昇への対応を最優先課題としている。在タイ日本人・日本企業にとっても、タイの政策動向や社会情勢を把握し、適切に対応することが求められる局面だ。

