タイ国際航空(TG)が、2026年5月に予定されていた46便の運航を臨時に取りやめると発表した。背景にあるのは中東情勢に端を発するジェット燃料価格の高騰と、タイ観光の低シーズン入りによる需要の弱含みで、北京・ソウル・香港・シンガポール・ニューデリー・フランクフルト方面など主要路線が影響を受ける。
TGが公表した内容によれば、今回の措置は「恒久的な路線廃止」ではなく、あくまで「臨時減便」の位置付け。燃料コストと需要のギャップが一時的に採算を悪化させているため、5月中の運航スケジュールを調整する形で運航体制を維持しようとする狙いだ。46便は全体の中ではわずかな比率だが、日本人利用の多い路線にも含まれており、具体的な影響範囲に関心が集まっている。
燃料価格の高騰は中東地域の情勢悪化が主因。米国・イスラエル・イラン間の緊張が続く中で、ジェット燃料(Jet A-1)価格は紛争前のおよそ80米ドル/バレルから現在は140米ドル/バレル超と2倍近くに跳ね上がり、航空会社の運航原価を圧迫している。TGは4月1日時点で10%の燃油サーチャージを導入し、運賃全般も10〜15%引き上げる方針を並行して示していた。
運休対象の具体的な路線は、バンコク・北京、バンコク・ソウル(仁川)、バンコク・香港、バンコク・シンガポール、バンコク・ニューデリー、バンコク・フランクフルトなどアジアと欧州の主要幹線が中心。同じ路線でも1日複数便出ているうちの一部の便だけが減便対象となるため、旅客は同一路線の別便に振替られるケースが多いとみられる。
日本-タイ路線での影響は今回の46便リストには明示されていないが、同時期にはタイ・エアアジア(FD)が那覇〜香港〜バンコク線を5月6日で運休するなど、他のLCC・FSC含めた運航体制の見直しが相次いでいる。運賃面でもJAL・ANAが大幅な燃油サーチャージ引き上げを決めており、日本発の旅客にとってタイ渡航の総コストが上昇する局面にある。
TGの今回の措置は、航空需要の低シーズン(4月中旬から5月中旬のソンクラン明け時期)と燃料コスト上昇のダブルパンチを受けた合理化の一環とみられる。タイ政府・航空会社共にホルムズ海峡封鎖の早期解消を期待しているが、中東情勢が短期で好転する見通しは立っておらず、夏場以降の運航計画にも調整が及ぶ可能性がある。
在タイ日本人・訪タイ予定の旅行者にとっては、5月中の予約済み便が影響を受けていないかの確認が急務となる。TGの公式サイト、予約済みチケットの予約番号検索、または旅行代理店への確認で、自分のフライトが減便対象かを早めに把握しておきたい。振替便が用意されている場合もあるため、キャンセル前の問い合わせが現実的だ。
タイ政府レベルでは、TISCO ESUなどのシンクタンクが「タイは年央までにエネルギー不足リスク」と警告しており、航空業界の減便も供給面の制約を反映した動きとなる。観光・ビジネス渡航ともに、5-6月の計画には燃料供給と航空スケジュールの変動要因を織り込んでおく必要がある。