タイの石油精製大手2社が、ディーゼル精製マージンの引き下げをめぐり政府を提訴する計画はないと明言した。エネルギー省が小売価格の抑制を目的に精製手数料の削減を命じたことに対し、業界内で法的対抗措置の観測が広がっていたが、両社はこれを否定した格好である。
アカナット・プロムパン・エネルギー大臣は4月7日、軽油B7およびB20の精製マージンを1リットルあたり2バーツ引き下げると発表していた。従来のマージンは最大15.99バーツに達しており、政府は6社との緊急会合を経て大幅な削減に踏み切った経緯がある。
提訴観測が浮上した背景には、精製各社の収益が急激に圧迫される構造がある。中東情勢の悪化に伴う原油価格の高騰と、政府による価格統制の板挟みとなり、一部では法的措置も辞さないとの見方が出ていた。SPRCはいち早く提訴を否定し、政府への協力姿勢を改めて打ち出している。
一方で、バンジャック子会社BCPは精製マージンに関する協議を欠席しており、業界内の温度差も見え隠れする。石油基金の赤字は590億バーツに拡大しており、ディーゼル補填だけで日量12億バーツが流出する異常事態が続いている。
政府はエネルギー危機対策として精製各社に協力を求める一方、消費者保護の観点から価格統制を強化する構えである。精製業界としても世論の批判を受けて正面衝突は避けたい思惑があり、当面は政府方針に従う姿勢を維持するとみられる。