タイ会計検査院(กรมบัญชีกลาง)は、公共工事の積算に用いるディーゼル燃料の基準価格を1リットルあたり19バーツ引き上げる方針を発表した。エネルギー危機による燃料費高騰が建設業界を圧迫している現状を受けた措置である。
公共工事の入札では、政府が定める「ราคากลาง(標準価格)」に基づいて予定価格が算出される。この標準価格の算定式に含まれる燃料コストの係数が長らく据え置かれていたため、実勢価格との乖離が拡大していた。建設業者からは「赤字覚悟でなければ入札できない」との声が上がっていた。
今回の改定により、建設業者が積算段階で計上できる燃料費が実態に近づくことになる。道路・橋梁・治水施設など燃料を大量に消費する大型インフラ案件では、1件あたり数百万バーツ規模のコスト差が生じる可能性がある。
タイではディーゼル小売価格が50バーツを突破し、石油基金の赤字も590億バーツに膨張するなど、エネルギーコストの上昇が経済全体に波及している。建設分野では資材価格の高騰も重なり、入札不調や工期遅延が相次いでいた。
政府は公共投資を景気下支えの柱と位置づけているだけに、建設業者が適正な利益を確保できる環境整備は急務である。ただし基準価格の引き上げは財政負担の増大に直結するため、今後の原油動向次第では再度の見直しを迫られる局面もありそうだ。