アヌティン首相は9日、国会で就任後初の施政方針演説を行い、世界的なエネルギー危機への対応を政権運営の最重要課題に位置づけた。演説では燃料コストの抑制策を軸に、資本市場の透明性向上や長期投資チャネルの拡充など、経済全般にわたる改革方針が示された。
施政方針の柱の一つとなったのが「経済リセット」である。家計債務の抜本的な解消策を講じるとともに、AI技術の導入を積極的に推進し、産業構造の転換を図るとした。タイ中央銀行がすでに銀行に対し債務者救済策の実施を命じているなか、政府としても足並みをそろえる姿勢を鮮明にした格好である。
エネルギー分野では、ホルムズ海峡の緊張を背景に国内の燃料価格が急騰しており、政府はすでに精製マージンの大幅引き下げや7品目の価格統制に踏み切っている。首相はこれらの緊急措置を継続しつつ、中長期的なエネルギーコスト管理の枠組みを構築する方針を示した。
国家改革に関しては「国民が自立できる社会の実現」を掲げ、行政機構の効率化に取り組む考えを表明した。詐欺対策についても国家課題に格上げしたばかりであり、治安面でも積極姿勢を打ち出している。
民間エコノミストからは厳しい見方も出ている。大手証券会社が今年のGDP成長率予測を1.3%に引き下げたほか、航空燃料の高騰でLCC各社が路線を運休するなど、実体経済への打撃は広がる一方である。施政方針で掲げた目標がどこまで実効性を伴うか、国民の注視が続く。