タイの格安航空会社(LCC)3社が、ジェット燃料価格の急騰を受けて一部路線の一時運休に踏み切った。エアアジア、ノックエア、タイ・ライオンエアがそろって採算の取れない路線から撤退する異例の事態となっている。
背景にあるのは、航空用燃料Jet A-1の価格が従来の2〜3倍に跳ね上がった現実である。中東情勢の緊迫化に伴う原油供給の不安定化が直撃し、航空各社の燃料コストは経営を圧迫する水準に達した。運賃への転嫁だけでは吸収しきれず、不採算路線の運休という苦渋の決断に至った格好だ。
LCC各社はすでに運賃の大幅値上げに踏み切っていたが、それでも燃料費の上昇ペースに追いつかない状況が続いていた。エアアジアXは最大40%、バンコクエアウェイズも20%の値上げを実施したばかりである。今回の運休は、値上げだけでは限界があることを示している。
燃料高の影響は航空業界にとどまらない。離島へのフェリーも値上げと減便が広がっており、ソンクラーン連休を控えたタイの観光産業全体に暗い影を落としている。ランパーンでは警察がパトカーの代わりに馬車で巡回するなど、燃料危機は社会のあらゆる場面に波及している。
運休がいつまで続くかは不透明だ。政府は精製マージンの引き下げなど価格抑制策を打ち出しているものの、中東情勢が落ち着かない限り抜本的な改善は見込みにくい。旅行を予定している場合は、利用路線の運航状況を事前に確認することが不可欠である。


