タイ商工会議所・タイ工業連盟・タイ銀行協会で構成する合同常任委員会(กกร.)が4月1日、2026年のGDP成長率予測を1.6〜2.0%から1.2〜1.6%に引き下げた。中東戦争の長期化によるエネルギー価格高騰が主因だ。
GDP予測の下方修正幅は0.4ポイント。あわせてインフレ予測を従来の0.2〜0.7%から2.0〜3.0%へ大幅に引き上げた。輸出は0.5〜1.5%の減少を見込む。
1.2%成長という下限は、コロナ禍の2020〜2021年を除けばタイ経済にとって近年最低の水準だ。世界銀行も2月に2026年の成長率を1.6%に下方修正しており、国内外の見方が一致した形になる。
最大の要因は燃料価格の急騰だ。ディーゼルは1週間で32.94バーツから44.24バーツへ34%上昇し、物流コストが跳ね上がった。タイ工業連盟は「物価8〜10%上昇、輸送費20〜25%増は不可避」と警告しており、製造業の生産コスト増が企業の収益を直撃している。
タイ中銀も「経済は下向きに転じた」と警告しており、民間と中央銀行の認識が一致した形だ。
ホルムズ海峡の航行リスクが高まり、タイの原油輸入の59%がこの海峡を通過する。戦争が長期化すれば自動車輸出20万台の消失や、観光業への打撃も加わる。
日本の2026年のGDP成長率予測は0.5〜1.0%で、タイの方がまだ高い。だが日本は燃料補助金で価格を抑制しているのに対し、タイは石油基金が421億バーツの赤字で補助を続ける余裕がない。物価上昇が直接国民の購買力を削る構造だ。
新たにエネルギー対策本部長に就任したエクニティ副首相が経済対策を担うが、戦争の終結なしに根本的な回復は見込めない。



