4月1日に就任したエクナット・プロムパン新エネルギー相が、電気料金の構造改革と石油備蓄業者への厳罰化に着手する方針を示した。燃料危機が深刻化するタイで、エネルギー行政の抜本的な見直しを担う重責を負って就任したばかりの新大臣が、就任直後から具体的な施策を打ち出した形だ。
現行の電気料金はタイでも使用量が増えるほど単価が上がる「階段型」を採用している。エクナット大臣はこの構造を根本的に見直し、月間200単位(キロワット時)以下の低使用量世帯に対して3バーツ/単位の特別料金を適用する案を検討している。タイの一般的なアパートで1人暮らしの場合、月の使用量が100から200単位程度であることが多く、この案が実現すれば電気代を月600バーツ(約2,700円)以下に抑えることができる計算だ。エネルギー規制委員会がすでに5月から8月の電気代を3.95バーツ/単位に決定しているが、低使用量世帯向けの特別料金が導入されれば実質的な引き下げとなる。
精製マージン(ค่าการกลั่น)の見直しも着手する方針だ。野党側は「タイの燃料価格の算定がシンガポール参照価格を基準にしており、精製業者が過大な利益を得ている」と問題を提起してきた。エクナット大臣は精製業者の利益構造を透明化する委員会を設置し、消費者価格への反映を適正化する方向で調査を進めると述べた。
備蓄業者への厳罰化も打ち出した。燃料危機が深刻だった時期に、一部の石油倉庫が仕入れた量より出荷する量が少ない「入荷超過」の状態にあることが発覚し、投機的な買い占めが疑われる事態となった。タイ南部では石油倉庫11か所が捜索されており、政府は悪質な備蓄業者を刑事罰の対象とする方針を打ち出した。
タイの電力供給は国営電力公社(EGAT)が発電を担い、首都電力公社(MEA)と地方電力公社(PEA)が配電・販売を行う3段構えの体制だ。各公社は燃料コストの上昇分を料金算定に反映させるよう求めており、エネルギー規制委の料金決定は政治的な判断も絡む複雑な過程を経る。新大臣が打ち出した「低使用量世帯向け3バーツ」の実現には、既存の料金算定体系の変更と関連機関との調整が必要となる。
タイの電力料金は家庭用の場合、月300単位以下の低消費者と300単位超の高消費者で単価が大きく異なる。1単位あたり3.95バーツという料金は日本(約27円≒約6バーツ)と比べると安価だが、タイの平均賃金水準を考えると生活費に占める割合は小さくない。特に電動バイクや電気自動車の普及が進む中で、家庭の電力使用量は増加傾向にあり、電気代の抑制は燃料費削減と並ぶ生活コスト対策として注目されている。