タイ政府の中東情勢管理センターは2026年3月29日、国内燃料生産・販売状況の最新データを公表した。エネルギー事業局副局長のチャッチャイ・クンローヒット氏が会見し、「備蓄管理は万全だ。市民は安心してほしい」と述べた一方で、4ADMシステムによる流通実態の監視強化も明らかにした。
国内燃料生産・需要の数字
2026年3月27日時点のデータとして、ディーゼルの日間国内生産量は平均8,221万リットル、国内販売量は8,299万リットル、輸出は443万リットルだった。販売と輸出の合計需要は8,742万リットルで、生産量8,221万リットルを上回っている。この差はあらかじめ確保された備蓄の取り崩しで補われており、「供給は継続している」とした。
ガソリン(ベンジン・ガソホール含む)の日間生産量は約2,400万リットル、販売量は約2,500万リットルで、こちらも安定的な水準にある。
「4ADM」システムとは
チャッチャイ氏が言及した「4ADM」は、石油流通の電子監視システムだ。精製所から卸売業者(ターミナル)、小売業者(スタンド)への流通を追跡するデータベースで、2月1日にさかのぼって取引データの照合が行われているという。
これにより、「精製所では生産しているのにスタンドに届かない」という「燃料消失」のパターンを検出し、備蓄業者による不正な買い占めがあれば証拠として押さえる狙いがある。
備蓄業者への圧力
チャッチャイ氏は「法的に義務付けられた配送量を守らない業者に対しては、最大限の法的措置を取る」と明言した。タイの石油関連法では、指定された流通業者は割り当てられた量を実際にスタンドや消費者に配送する義務があり、意図的な滞留は違法だ。
数字が示す実態との乖離
生産量・販売量の数字は「全国合計」であり、地域ごとの分配には偏りがある。バンコク周辺や東部工業地帯には届いていても、北部・東北部・南部の遠隔地に届くまでにはタイムラグが生じる。「国全体の備蓄は十分」という当局の発言と「うちの県には届いていない」という地方住民の声の乖離はここから来ている。
タイのエネルギー流通インフラの地域格差是正が、燃料危機の根本的な教訓の一つとなった。