タイで電気自動車(EV)の火災が相次ぎ、急成長してきたEV業界に不安が広がっている。6月14日にバンコクでボルボのEVが、16日にはコンケンで充電中のBYDが炎上し、民家を巻き込む被害も出た。3日間で2件という事態に、各社や当局が原因の調査に追われている。
コンケンでは充電中のBYDが炎上、民家全焼
6月16日未明、タイ東北部コンケン県ムアン郡の住宅で、充電中だったBYDの小型EV「ドルフィン」から火が出た。火はみるみる燃え広がり、2階建ての住宅と車を焼き尽くした。家の所有者(46)が車を駐車して充電ケーブルをつないだ後に出火したとみられる。
就寝中だった家族は異変に気づいて逃げ出し、全員が無事だった。消火には1時間ほどかかったという。警察と鑑識が、車と住宅の電気系統の両方を調べている。
BYDは「車の欠陥ではない」と反論
火災を受け、BYDのタイ販売代理店であるリーバー・オートモーティブは、車両に問題があったとの見方を否定した。同社は「火災は車両やその内蔵電気部品が原因ではない」とし、車の充電システムに適合しない外部の電気回路や充電機器が原因だと説明している。専門家の初期調査でも、車そのものが原因ではないとの見方が示されたという。
EVの火災では、充電設備や配線など「車の外側」の要因が絡むことも多く、原因の切り分けが難しい面がある。
バンコクではボルボのEVも全焼
これに先立つ6月14日午後6時すぎには、バンコクのタウィーワッタナー区で、ボルボの高級EV「EX40」が住宅の前で全焼した。消防が約10分で消し止め、けが人はいなかった。当局が出火原因を調べている。
ボルボをめぐっては、別モデルの「EX30」が火災のリスクを理由にタイで販売停止の措置を受けており、EVの安全性への視線が厳しくなっていた矢先の出来事だった。
EV大国タイで高まる安全への関心
タイは東南アジア有数のEV普及国で、なかでもBYDはEV市場の約4割を占めるとされる。政府のEV補助金や輸入関税の優遇は2027年に期限を迎える予定で、市場が伸びる一方、品質や保証、安全性をめぐる不満や懸念も指摘され始めている。
EVは日本でも普及が進む。充電設備との相性や設置環境が火災リスクに関わる点は、タイに限った話ではない。相次ぐ火災は、EV時代の安全をどう確保するかという課題を改めて突きつけている。
