タイへの夢の旅行が、1年4か月の刑務所生活という悪夢に変わった。英国・ロンドン南部クロイドン出身の男性(27)が、ビザの延長をめぐる詐欺に遭い、偽の入国スタンプを使ったとして有罪となり、バンコクで服役した。ビザの「手続き代行」が落とし穴になった、在住者や長期滞在者にも教訓の多いケースである。
ムエタイビザの手配で詐欺に
ヒーティング技師として働くオリバー・ハーディさんは、タイ滞在を延ばそうと、ムエタイ(タイ式ボクシング)の修行用ビザの取得を考えた。ある男に手配を頼んで1,200ポンドを支払ったが、手続きが進まないまま遅れ、結局オーバーステイ(不法残留)の状態になってしまったという。
その後、2023年12月にパタヤのビザ代行業者に相談し、さらに1,800ポンド(約7万8,800バーツ、約39万円)を支払った。藁にもすがる思いだったとみられるが、これがさらなる問題につながっていく。
偽の入国スタンプが発覚
2024年2月、ハーディさんが家族に会うためインドネシアのバリからバンコクに入ろうとした際、入国管理の係官が、システムに記録のない2つのスタンプに気づいた。実際には行っていないはずの英国への渡航を示すもので、偽造とみられた。
ここから事態は一気に悪化する。ハーディさんは、オーバーステイ、入国審査を受けずに不正なルートでタイを出たこと、入国スタンプの偽造、公印や文書の偽造、偽スタンプの使用などの罪に問われた。
有罪、そして1年4か月の服役
2024年、ハーディさんは有罪となり、当初は懲役2年8か月を言い渡された。その後、罪を認めたことで1年4か月に減刑された。夢の旅行のはずが、長期の収監で終わったことになる。
タイでは、正規でないビザ代行や「特別な手続き」をうたう業者が、結果的に利用者を違法行為に巻き込む例が後を絶たない。手続きは公式の入管やビザ申請の正規ルートで行うことが、遠回りに見えても最も安全だといえる。