タイの消費者団体「消費者協議会」が、フェイスブック上の詐欺的な広告をめぐり、運営元のメタ(Meta)を相手取って民事訴訟を起こす準備を進めている。協議会によると、2024年から2026年にかけて、フェイスブックでの買い物やサービスに関する被害の相談は3,700件を超えた。広告の審査体制や法的責任のあり方など8つの構造的な問題を指摘し、メタにタイでも国際水準と同じ消費者保護を求めるとしている。タイで暮らす日本人にとっても、フェイスブックの詐欺広告は人ごとではない。
3,700件を超える被害相談
協議会が公表した2024〜2026年の統計では、フェイスブックを通じた商品購入やサービス利用に関する被害の相談が3,700件を超えた。偽の通販、届かない商品、有名人や企業へのなりすましなど、手口はさまざまだ。協議会は、こうした被害が後を絶たない背景に、プラットフォーム側の広告審査の甘さや、責任の所在があいまいな法制度の抜け穴があると見ている。
訴訟は、メタのタイ法人と本社の双方を対象に、民事責任を問う形で準備されている。協議会は、被害が起きても利用者が救済を受けにくい現状を問題視している。
「タイでも国際標準の保護を」
協議会の主張の柱は、メタが国や地域によって対応に差をつけているのではないか、という点にある。詐欺広告への対策や被害者対応について、タイでも他国と同じ水準の取り組みを行うよう求めている。
実際、ロイターなどは、メタが一部の市場で、詐欺的な広告を広告ライブラリー上で見つかりにくくする手法をとっていたと報じている。利用者からは、通報しても対応が遅い、同じ詐欺アカウントが何度も現れる、といった声が根強い。
詐欺広告とどう向き合うか
タイ当局も対策を強化している。王立警察のサイバー犯罪部門はメタと毎月協議を重ね、2025年10月から2026年2月までに、違法なギャンブルや高利貸し、人身売買につながる偽の求人広告など、5万2,000を超える疑わしいページを遮断した。メタ自身も、有名人になりすました詐欺広告などについて、広告主への法的措置に乗り出している。
それでも、巧妙な詐欺広告は次々と現れる。フェイスブックで「安すぎる」商品や、有名人が勧める投資話を見かけたら、まず疑ってかかることが身を守る第一歩になる。公式サイトや正規の販売チャネルかどうかを確かめ、前払いを求められたら慎重に判断したい。
タイでは、オンライン詐欺の被害が深刻化したことを受け、政府が専用の相談窓口「AOC 1441」を設けている。電話一本で口座の凍結要請や相談ができる仕組みで、被害に遭った、あるいは遭いそうになった場合は早めに連絡することが被害の拡大を防ぐ。フェイスブックの広告から誘導されるケースも多く、リンク先のサイトやアカウントが本物かどうかを落ち着いて確かめる習慣が欠かせない。