タイの中央銀行であるタイ銀行(BoT)が、バーツに連動した「ステーブルコイン」の発行を検討している。ウィタイ・ラタナコーン総裁が明らかにしたもので、現在は意見公募(パブリックヒアリング)と制度設計の段階にあり、2026年内にも具体像が見えてくる見通しだという。世界的にデジタル通貨への関心が高まる中、タイも乗り遅れない姿勢を示した形だ。
バーツ準備で1対1の裏付け
ステーブルコインは、価格を法定通貨などに連動させて安定させたデジタル資産を指す。BoTが想定するバーツ連動型では、発行額と同額のバーツ準備で1対1の完全な裏付けを行うことが前提となる。価値が大きく変動する一般的な暗号資産とは異なり、決済や送金に使いやすいことが特徴だ。
導入は段階的に進める方針で、第1段階では金融機関どうしの決済での利用に限る。その後、用途を広げるかどうかを順次見極めていくという。
2024年から「サンドボックス」で実証
BoTはすでに2024年、プログラム可能な決済を試す「ステーブルコイン・サンドボックス(実証環境)」を立ち上げ、2025年12月に対象を広げてきた。これまでにSCB 10X、カシコン銀行(KBANK)、アセンド・ビットといった事業者が参加し、バーツ連動ステーブルコインや自動決済の仕組みを検証してきた。
総裁は年内に提案について公開協議を行う考えを示しており、慎重に制度を固めながら実用化を目指す方針だ。
デジタル通貨と金融安定の両立
タイでは近年、ドル連動ステーブルコイン「USDT」を使った不透明な資金の流れにも当局が目を光らせている。BoTのバーツ連動ステーブルコイン構想は、技術革新を取り込みつつ、こうしたリスクを管理し、金融の安定を保とうとする狙いがうかがえる。決済の効率化が進めば、タイで暮らす人や事業者にとっても、送金や支払いの選択肢が広がる可能性がある。

