タイ初のデジタル銀行(バーチャルバンク)「CLICX(クリックス)」が、6月19日に開業する。店舗を持たず、スマホアプリだけで完結する新しい銀行で、開業初日から預金の受け入れを始め、最大4%という高い金利を打ち出す。大手銀行・通信・石油小売の連合が手がける、タイの金融に風穴を開ける試みである。
大手3社連合が手がける「店舗なし銀行」
CLICXは、タイ中央銀行から国内初のバーチャルバンク免許を受けた銀行だ。出資するのは、国営大手のクルンタイ銀行(KTB)、最大手携帯通信のAIS、そしてPTT系の石油小売OR(PTT Oil and Retail)の3社。5月14日に、3つの申請者のうち最初に免許を取得した。
3社を合わせた顧客基盤は5,000万人を超える。すでに銀行口座や携帯電話、給油・コンビニで日常的に使われている巨大な顧客網を、そのままデジタル銀行に取り込もうという狙いだ。
預金金利最大4%、アプリで完結
最高経営責任者(CEO)のスポーン氏によると、開業初日からまず預金の受け入れを始め、金利は最大4%を提示するという。タイの一般的な普通預金金利は0%台にとどまることが多く、4%はそれを大きく上回る水準だ。利用者はアプリをダウンロードして口座を開ける。
店舗や通帳を前提とせず、スマホで本人確認から入出金まで完結するのが、従来の銀行との大きな違いである。
「銀行に縁がない人」を取り込めるか
タイ中央銀行によると、タイでは6割以上の人が金融サービスを十分に使えていない状態にあるとされる。収入が突然途絶えた場合に、生活費6か月分以上の蓄えがある人は2割に満たないという調査もある。
CLICXは、こうした従来の銀行が取りこぼしてきた層に、少額融資や使いやすいアプリで応えることを掲げている。タイで暮らす人にとっても、高金利の預金先や新しい金融サービスの選択肢が増えることになりそうだ。
