タイの東部経済回廊(EEC)の目玉とされてきた、3つの空港を結ぶ高速鉄道計画が大きな岐路に立っている。EECの事務局トップによると、残された選択肢は契約を見直して事業を続けるか、計画そのものを中止するかの2つだという。8年にわたり難航してきた巨大プロジェクトの行方は、民間側の判断とEEC委員会の決定に委ねられている。
ドンムアン・スワンナプーム・ウタパオを結ぶ構想
この高速鉄道は、バンコクのドンムアン空港、スワンナプーム空港、そして東部のウタパオ空港の3空港を結ぶ計画で、EECの中核インフラとして期待されてきた。受注したのは、タイの大手財閥CPグループが率いる「アジア・エラ・ワン」社(旧・東部高速鉄道3空港連絡会社)だ。
しかし、用地の引き渡しや契約条件をめぐる交渉が長引き、政権交代もはさんで8年にわたり計画は前に進んでいない。5月20日には、契約修正の議題がEECの政策委員会から取り下げられた。
焦点は「建設しながら支払う」方式
交渉の最大の焦点は、国の支払い方式だ。民間側は、銀行から融資を受けやすくするため、完成後にまとめて支払う方式から、建設の進み具合に応じて国が支払う方式への変更を求めている。これに対し運輸省は慎重な姿勢を崩しておらず、契約見直しのハードルとなっている。
CPグループの会長も、さまざまな状況が変わり難しい課題だと認めているという。7月に予定される期限までに契約を結べなければ、EEC委員会は計画の範囲そのものの見直しを迫られる見通しだ。
アヌティン首相がEECを直轄
こうした中、アヌティン・チャーンウィーラクン首相は6月15日付でEECを自らの直轄下に置く命令を出した。EECを、世界的な食料安全保障やデータセンターの誘致を軸とする投資の目玉として立て直す狙いだとされる。高速鉄道計画の決着は、タイ東部の開発戦略全体を占う試金石となりそうだ。