タイ南部で構想される巨大物流計画「ランドブリッジ」について、検討委員会が、シンガポールの港などと比較しながら多角的にさらに調べ、8月までに結論を出す方針を決めた。アンダマン海とタイランド湾を陸路で結び、マラッカ海峡を通らずに貨物を運ぶ近道をつくる狙いだが、採算性への疑問も根強い。事業の行方は、アヌティン政権の判断に委ねられる。
アンダマン海とタイランド湾を結ぶ構想
ランドブリッジは、アンダマン海側のラノーンと、タイランド湾側のチュンポンに大型の深海港を整備し、約90キロの高速道路と複線鉄道で結ぶ計画だ。総事業費は約9,970億バーツ(約4兆8,000億円)規模とされ、50年間の官民連携(PPP)で単一の事業者が運営する構想となっている。
マラッカ海峡やシンガポールを経由せずに、インド洋と太平洋の間で貨物を運べるようにするのが狙いで、国家戦略の目玉として推進されてきた。
シンガポール港との比較がカギ
検討委員会は3つの小委員会に、シンガポールの港などとの比較を含めた追加調査を指示した。国家経済社会開発委員会(NESDC)のダヌチャー事務局長が事務を担い、8月までに結論をまとめてアヌティン首相に報告する。政府が掲げる90日の見直し期間に沿った動きだ。
ただ課題は多い。コンテナ貨物を半島の両側で2度積み替える必要があり、効率の面でシンガポールのトゥアス港やマレーシアのポートクランに対抗できるかが問われる。実際、大手海運会社はまだ参画を表明していない。世界有数のシンガポール港はすでにほぼ満杯の稼働で、2040年までに能力を大きく広げる計画も進めている。
採算性が最大の論点
ランドブリッジの設計上の処理能力は、ラノーン港で約1,940万TEU、チュンポン港で約1,380万TEUとされる。ただ、巨額の投資に見合う需要を確保できるかどうかが最大の論点だ。タイ政府は2025年にも閣議へ向けた動きを見せてきたが、採算性や商業的なリスクへの懸念から慎重な検討が続いてきた。8月の結論が、計画を前に進めるかどうかの分岐点となりそうだ。
