タイ政府は、大麻の輸出額が20億バーツ(約97億円)を超えたと明らかにした。あわせて、輸出許可の手続きを電子化し、事業者が申請しやすい仕組みを整えると発表した。2022年に大麻を麻薬指定から外して以来、タイは東南アジアで突出した合法市場を築いてきたが、近年は規制を立て直す動きも進んでおり、輸出振興と管理強化が同時に進む構図となっている。
輸出額20億バーツ、電子許可で手続き簡素化
首相府の副報道官によると、タイの大麻輸出はこれまでに20億バーツを超える規模に達した。政府は輸出に必要な許可申請(ポートー32)を電子的に処理できるようにし、行政サービスのデジタル化を進めることで、輸出事業者の負担を軽くする狙いだという。
タイは2022年6月に大麻を麻薬リストから除外し、医療や産業向けの利用に道を開いた。解禁後は国内で大麻ショップが急増し、観光客向けの市場も一気に拡大した。一方で無秩序な広がりへの批判も強まり、政府は制度の立て直しを迫られてきた。
2026年に強まった規制
2026年4月には、大麻やヘンプの抽出物に関する新たな省令が施行された。利用目的は医療、研究、産業、麻薬取り締まりの4つに限定され、以前より条件が厳しくなった。医療用の抽出物を製造する事業者は外資ではないタイの法人であることが求められるなど、外国資本への制限も設けられている。
輸出向けの大麻花についても、栽培から加工、包装までの流通経路を追跡できることや、国際的な栽培管理基準(GACP)に沿った栽培が条件とされる。品質と安全性を担保し、輸出市場での信頼を確保する狙いがある。
「大麻・ヘンプ法」の行方
タイでは現在、大麻産業を専門に規定する初の法律「大麻・ヘンプ法」の制定が、議会前の最終協議段階にある。2026年内に可決されれば、これまでの省令に代わり、罰則や所有ルール、輸出手続きを法律として明確に定める枠組みができる見通しだ。
医療や産業向けの輸出を伸ばしつつ、無秩序な使用は抑えるという二つの方向性をどう両立させるかが、今後のタイの大麻政策の焦点となる。