タイ産のバナナが、日本の食卓に本格的に進出しようとしている。タイ商務省の国際貿易振興局(DITP)は、香りの良い「ホムトン」種のバナナを日本市場へ売り込む取り組みを進めており、年間1万トンを超える輸出を目標に掲げた。日本が年間100万トン以上のバナナを輸入する巨大市場であることに着目した動きで、タイ東北部の産地と日本の輸入業者を結びつける計画だ。
日本の専門家を産地へ、7月から本格始動
DITPによると、7月初めに日本の専門家をタイ東北部のナコンラチャシマ、チャイヤプム、ブリラムの各県に招き、バナナの栽培地の改良を支援する。その後、日本の輸入業者を現地に案内し、生産者との商談につなげる方針だ。日本の品質基準に合わせた栽培方法を取り入れることで、輸出向けの安定した供給体制を整える狙いがある。
タイ商務省は2023年にも、ナコンラチャシマ産のバナナ5,000トン(約10億バーツ規模)を日本の輸入業者へ供給する契約を結んでいる。今回はその実績をさらに広げ、年1万トン超という目標を掲げた形だ。
なぜ今、タイのバナナなのか
日本は年間100万トン以上のバナナを消費するが、その約8割はフィリピン産が占めている。タイ産のシェアはわずか0.2%程度にとどまり、伸びしろが大きい。日本ではすでに業務スーパーや生協などでタイ産のホムトンバナナが扱われており、無農薬や有機栽培をうたった商品として一定の支持を得ている。
フィリピン産に比べて流通量が少ない分、希少性や栽培方法を前面に出せば差別化の余地がある。タイにとっては農産物輸出の新たな柱を育てる狙いがあり、東北部の農家の収入向上にもつながると期待されている。
日本のスーパーでタイ産バナナは増えるか
輸出が計画どおり拡大すれば、日本のスーパーや生協で「タイ産」と表示されたバナナを見かける機会が増えそうだ。産地や品種で果物を選ぶ消費者にとっては、選択肢が一つ広がることになる。今後は日本の輸入業者との商談がどこまで具体的にまとまるかが、計画の成否を左右する。

