タイの空の玄関口であるスワンナプーム国際空港とドンムアン国際空港で、搭乗を待つ旅行者の手荷物を狙った連続窃盗が相次いだ。警察は5月30日、中部シンブリー県のリゾート施設に潜んでいたタイ人の女を逮捕した。確認されている被害は3件で、うち1件では現金や貴重品あわせて約30万バーツ(約147万円)相当が一度に盗まれていた。ターミナルで仮眠を取るわずかな時間が狙われており、空港を使うすべての旅行者にとってひとごとではない手口である。
スワンナプームとドンムアンで相次いだ3件の窃盗
被害が確認されたのは5月の3件である。5月16日にはドンムアン空港でマレーシア人旅行者が、5月20日には同じくドンムアンでインド国籍の旅行者が、それぞれ手荷物を盗まれた。そして5月21日、スワンナプーム空港でもタイ人女性が被害に遭い、警察に届け出た。
この女性の被害がきっかけとなり、捜査が一気に進んだ。女性は旅客ターミナル3階のゲート3付近でおよそ10分間うたた寝をしていたといい、その短い間にバッグごと持ち去られた。盗まれたのはiPhone 7 Plus、レイバンのサングラスのほか、UAEディルハム、米ドル、ユーロ、英ポンドといった複数の外貨で、被害総額は約30万バーツに上ったとされる。
警察は空港の防犯カメラの映像から容疑者を特定し、5月30日にシンブリー県のリゾート施設で身柄を確保した。
仮眠中の旅行者を狙う手口
今回の事件で浮かび上がったのは、長い待ち時間で気が緩んだ旅行者を狙う手口である。深夜便や早朝便を待つ乗客がターミナルで横になって休むことは珍しくなく、その無防備な時間が標的にされた。
被害者にマレーシア人やインド国籍の旅行者が含まれていた点も見逃せない。国際線ターミナルには外貨や高価な電子機器を持ち歩く乗客が集まりやすく、一度に多額の現金や貴重品を奪える環境がそろってしまっている。乗り継ぎや出発を待つ外国人旅行者は、こうした窃盗犯にとって格好の標的になりやすい。
タイの窃盗罪の罰則と空港での盗難対策
タイの刑法では、窃盗は334条で最長3年の禁錮または6万バーツ以下の罰金が定められている。さらに夜間の犯行などの条件が加わると335条が適用され、刑は1年から5年の禁錮、罰金は2万から10万バーツへと重くなる。空港のような公共性の高い場所での犯行は、刑が加重される可能性がある。
旅行者にできる対策は地味だが効果がある。パスポートや現金、スマートフォンは肌身離さず身につけ、ターミナルで休む際は荷物のストラップを腕や脚に通しておく。現金や予備のカードを一カ所にまとめず分散させておけば、被害に遭っても全てを失わずに済む。長旅の疲れで眠気が差すのは自然なことだが、貴重品から物理的に手を離さない工夫が身を守る。