タイ中部チョンブリ県で、カラオケ店を隠れ蓑にして10代の少女らに売春を強要していたとして、警察が元夫婦の男女を人身売買などの疑いで逮捕した。捜査の過程では15歳の少女が保護されている。観光地パタヤを抱えるチョンブリ県では、こうした未成年を巻き込む摘発が後を絶たず、タイ社会が抱える根深い問題を改めて浮き彫りにした。
チョンブリでカラオケ店を隠れ蓑にした摘発
逮捕されたのは、かつて夫婦関係にあった男女とされる。2人は表向きカラオケ店を営みながら、その裏で10代の少女らに客を相手とした売春を強いていた疑いが持たれている。
事件が明るみに出たのは、警察が進めていた捜査が拡大したことがきっかけだった。捜査の結果、店で働かされていた15歳の少女が保護され、当局の支援につながれたという。タイの警察は近年、人身売買事件で未成年の被害者を見つけた場合、専門の保護手続きにつなぐ枠組みを整えており、今回もこの仕組みに沿って対応が進められたとみられる。
カラオケ店が人身売買の温床になる構図
今回のように、カラオケ店を装って未成年を働かせる手口は、タイで繰り返し摘発されている。2026年に入ってからも、パタヤのナクルア地区やパトゥムタニ県などで、無許可のカラオケ店や酒類提供を装った店舗が未成年の売春に関与していたとして相次いで摘発された。
これらの店は、通常の飲食店や娯楽施設を装うことで取り締まりの目をかいくぐろうとする。店の奥や個室で実際に何が行われているかは外から見えにくく、被害に遭う少女らは家庭の貧困などにつけ込まれて働かされているとの指摘がある。表の営業と裏の実態が二重構造になっている点が、摘発を難しくしている。
タイの人身売買処罰法と被害者保護
タイでは2008年に施行された人身取引防止法によって、人身売買は重く処罰される。被害者が未成年の場合は刑がさらに加重され、15歳以下の少女を対象とした場合は8年から15年の禁錮と16万〜30万バーツの罰金、15歳を超え18歳未満の場合でも6年から12年の禁錮が科される。成人を対象とした場合の4年から10年と比べても、子どもを巻き込んだ犯行への姿勢は厳しい。
一方で、摘発はあくまで対症療法にすぎないとの見方もある。被害者の多くは経済的に弱い立場に置かれた少女であり、保護した後の生活再建や心のケアまで含めて支援を続けられるかが問われている。店を一つ摘発しても需要が消えなければ別の店が現れるという構図をどう断ち切るかが、長年の課題として残されている。