タイ東部チョンブリ県シーラチャで、57歳の路線バス運転手が、薬物検査をすり抜けようとして逮捕された。抜き打ちの尿検査に対し、あらかじめ用意していた偽の尿を使ってごまかそうとし、見破られると今度はその証拠を飲み込んで隠そうとしたという。さらに車内を調べたところ、覚醒剤「アイス」と使用器具が見つかった。
抜き打ち検査で偽の尿、証拠を飲もうと
発覚したのは5月29日金曜の午後1時半ごろである。当局が実施した抜き打ちの薬物尿検査の場で、この運転手は自分の尿の代わりに、持っていた偽の尿の小瓶を使って検査を通り抜けようとした。
ところが、その不正が見破られると、運転手はあろうことか、その偽の尿の証拠を飲み込んでしまおうとした。証拠さえ消してしまえば言い逃れできるとでも考えたのか、とっさの行動だったとみられる。だが、その振る舞いはかえって不審さを際立たせ、薬物使用の疑いを一層濃くする結果になった。
車内から覚醒剤と使用器具を発見
当局がさらにバスの車内を調べたところ、覚醒剤の「アイス」と呼ばれるメタンフェタミン、そして薬物を使うための器具が見つかった。運転手はそのまま身柄を拘束された。乗客を乗せて公道を走る路線バスの運転手が、日常的に薬物へ手を染めていた疑いが強まった形だ。
公共交通の運転手と薬物検査
タイでは、バスやトラックなど公共交通や物流を担う運転手に対し、抜き打ちの薬物検査が行われている。長距離・長時間の運転を強いられる現場では、眠気を抑えるためなどに覚醒剤へ手を出す運転手が後を絶たず、注意力の低下や無謀な運転を招く危険があるためだ。年末年始やソンクラン(タイ正月)など、人の移動が集中する時期には、検査がとくに強化される。とりわけ多くの乗客の命を預かる路線バスの運転手が薬物を使っていれば、その危険は計り知れない。
偽の尿で検査をごまかし、見破られると証拠を飲み込もうとする。今回の一連の行動は、薬物使用の常習性をうかがわせると同時に、検査をすり抜けようとする手口の巧妙さも物語っている。替え玉の尿などの手段は各地で問題になっており、検査する側も抜き打ちの徹底や立ち会いの強化で対抗している。乗客の安全を守るうえで、こうした検査の実効性をいかに保つかが、改めて問われている。