5月29日の早朝、タイ屈指の観光地パタヤの南、バリハイ桟橋の近くで、外国人とタイ人のグループが入り乱れる乱闘騒ぎが起きた。混乱のなか、1台の黒いセダンが後退してタイ人女性をはね、車体の下に巻き込んだ。車の後輪が浮き上がるほど女性の上に乗り上げる衝撃的な様子が防犯カメラに残り、映像はSNSで一気に拡散した。女性は周囲の人々に救い出され、命に別状はないものの、骨折の重傷を負った。
桟橋近くで何が起きたのか
防犯カメラの記録によれば、騒ぎが起きたのは午前5時前、4時57分ごろだった。きっかけは、ある外国人の男が石を投げようと振りかぶったことだったとされる。誰に向けるでもなく石を手にした男から、タイ人とみられる小柄な男がそれを取り上げようとし、もみ合いに発展した。
映像には、さまざまな国籍の男たちが入り乱れて殴り合い、近くでは複数の女性も髪を引っ張り合うなどしてつかみ合う様子が映っていた。観光客や住民が行き交う桟橋周辺が、夜明け前の時間帯に一時騒然となった。
車が女性をひき、住民が車を持ち上げ救出
騒ぎが激しさを増すなか、1台の黒いセダンが後退し、その場にいた女性をはねた。はねられたのは20歳のタイ人女性、ピンピモンさんだった。車は彼女を車体の下に巻き込み、後輪が浮くほど乗り上げた。周囲には悲鳴が上がり、現場は騒然となった。
居合わせた人々はすぐに動いた。23歳のワラユットさんと友人がまず車を持ち上げようとし、さらに周囲の人々が次々と加わって車を持ち上げ、下敷きになっていた女性を引きずり出した。見ず知らずの人々が力を合わせて1台の車を持ち上げ、女性を救い出したのである。とっさの連携が、最悪の事態を防いだといえる。女性は腰の骨を折る重傷で、バンコクパタヤ病院に搬送された。車を運転していたのは外国人の男で、女性の交際相手とされる。男はそのまま女性を車に乗せ、自ら病院へ運んだという。
「故意か」は不明、警察が捜査
一部の報道は、女性が故意にひかれたように見えると伝えた。ただ、運転していたのが交際相手で、その後に自ら病院へ運んでいることもあり、意図的だったのかどうかは現時点で分かっていない。なぜ車が後退して女性をはねたのか、乱闘とどう関係していたのかも、まだはっきりしていない。パタヤ市警察の警官が現場を調べ、証拠を記録した。今のところ逮捕者は出ておらず、双方とも相手側への被害届や法的措置を求めていないという。
バリハイ桟橋は、沖合の離島コ・ラーンへ渡る高速船やフェリーが発着する、パタヤの海の玄関口の一つである。多くの観光客が行き交う場所であり、その目と鼻の先で乱闘が起きたことになる。パタヤの繁華街や桟橋周辺では、外国人と地元タイ人、あるいは観光客同士が衝突する騒ぎがたびたび起き、そのたびに防犯カメラや目撃者の映像がSNSで拡散してきた。今回も、車が女性を巻き込む衝撃的な映像が瞬く間に広がり、観光地の治安をめぐる議論を呼んでいる。双方が被害届を出していないなか、警察がどこまで事実関係を解明できるかが注目される。