トヨタのタイ法人が、人気SUV「カローラクロス」のハイブリッド版スポーティーグレード「HEV GR Sport」を2026年モデルへと改良した。最大の変更点は、ハイブリッド用バッテリーをリチウムイオン式に切り替えたことだ。前後のデザインにも手を入れ、内装にはGR Sportらしい赤いステッチやシートベルトを採用した。それでいて価格は125万4,000バーツ、現在のレートで約609万円と、従来から据え置かれている。
2026年モデルの主な変更点
今回の改良で中身が大きく変わったのが、ハイブリッドシステムの心臓部であるバッテリーである。従来のタイプから、電圧207.2ボルト、容量56アンペアアワーのリチウムイオン電池へと刷新された。リチウムイオン化により、軽量化や充放電効率の向上が期待される。
外観も新しくなった。フロントはGR Sport専用デザインのバンパーとグリルにあらため、リアもバンパーとテールランプの意匠を変更している。室内にはGR Sportのエンブレムと赤いステッチをあしらい、シートベルトもスポーティーな赤で統一した。さらに、フロントのマクファーソンストラットとリアのトーションビームによるサスペンション、そして電動パワーステアリング(EPS)も、GR Sportらしい引き締まった走りに向けて専用にセッティングし直されている。
パワートレインと走り
エンジンは1.8リットル直列4気筒「2ZR-FXE」型、排気量1,798ccで、最高出力98馬力、最大トルク142ニュートンメートルを発生する。これに最高出力72馬力、トルク163ニュートンメートルのモーターを組み合わせ、システム全体では122馬力を発揮する。変速機はハイブリッド専用のE-CVT、燃料タンク容量は36リットルとなっている。
装備と安全性能
足元には18インチのデュアルトーン・アルミホイールを履き、タイヤサイズは225/50R18だ。シーケンシャルウインカー付きのLEDプロジェクターヘッドライト、開放感のあるパノラマフレームレスサンルーフ、車の周囲360度を映すパノラミックビューモニターなどを備える。
室内は12.3インチのフルデジタルメーターに、ワイヤレスのApple CarPlayとAndroid Autoに対応する10.1インチのタッチスクリーンを組み合わせる。スマートフォンのワイヤレス充電、左右独立のオートエアコン、足の動きで開閉できるパワーテールゲートなど、装備は充実している。運転席は8方向のパワーシートだ。
安全面では、衝突回避支援やレーダークルーズコントロール、車線逸脱警報を含むトヨタ・セーフティ・センスを搭載する。エアバッグは7つ、四輪ディスクブレーキにABSやEBD、横滑り防止装置、死角の車両を検知するブラインドスポットモニターや後退時の警報なども装備する。
価格は据え置き、バッテリー保証は10年
気になる価格は125万4,000バーツ、日本円にして約609万円、1バーツを約4.86円で換算した水準である。装備を充実させながらも従来モデルから値上げせず据え置いた点は、購入を検討する層にとって分かりやすい魅力だろう。タイの自動車価格には高い物品税が上乗せされるため、日本での同クラスの感覚よりかなり高めに映る点も押さえておきたい。
保証は、車両本体が5年または15万キロ、ハイブリッドシステムが5年走行距離無制限、そしてハイブリッドバッテリーは10年走行距離無制限と手厚い。リチウムイオン電池への切り替えと合わせ、長く乗る際の安心感を高めている。ボディカラーは、ブラックルーフと組み合わせるプラチナホワイトパールとレッドマイカメタリック、それにアティチュードブラックマイカの3色が用意される。
タイの自動車市場では中国勢のEV攻勢が続くなか、トヨタは売れ筋のカローラクロスに手を入れ、ハイブリッドの中身を強化してきた。価格を据え置きつつ電池技術を新しくする今回の改良は、堅実な商品力の底上げといえる。