ホンダは2026年7月、タイで人気セダン「シビック」のハイブリッド仕様「e:HEV」を刷新して投入する。目玉は、モーターで走る車でありながら、あたかもギアを切り替えるような感覚を楽しめる新機能「S+ SHIFT」だ。電動化が進むなかで、運転する楽しさをどう残すかという、メーカーの工夫が表れている。
モーターなのに「ギアを操る」S+ SHIFT
シビックのe:HEVは、エンジンが主に発電を担い、実際に車を走らせるのはモーターという仕組みで、変速機は基本的に一段しかない。ところが今回搭載されるS+ SHIFTは、8段変速のギアボックスを模擬的に再現し、ドライバーが「シフトチェンジ」する感覚を味わえるようにする。実際の駆動は電気モーターのままだが、回転の高まりや音の演出によって、従来のガソリン車に近い「操る楽しさ」を狙ったものだ。ホンダはこのモデルで、走りの面白さを前面に打ち出している。
装備も強化、ブラインドスポットや360度カメラ
今回の更新では、安全・快適装備の強化も見込まれている。死角に入った車両を知らせるブラインドスポット機能や、車の周囲を上から見たように映す360度カメラの追加が予定されているという。日常での使い勝手を高めつつ、走りの楽しさと両立させる狙いがうかがえる。
全グレードがハイブリッド、価格は94.9万バーツから
タイのシビックは、2026年2月の改良で大きく舵を切っていた。それまでの1.5リッターターボエンジンを廃止し、全グレードをフルハイブリッドの「e:HEV」に統一したのだ。パワートレインは、2.0リッターの4気筒エンジンに2つのモーターを組み合わせ、電気式の無段変速機(E-CVT)とリチウムイオン電池を積む。価格帯は、入門の「EL」が94万9000バーツ(約462万円)、中位の「EL+」が109万9000バーツ、上位の「RS」が123万9000バーツ(約603万円)となっている。
電動化時代に「走る楽しさ」を残す
世界的にEVやハイブリッドへの移行が進むなか、各メーカーは、静かで滑らかな走りと引き換えに失われがちな「運転の高揚感」をどう補うかという課題に直面している。S+ SHIFTは、その一つの答えといえる。タイは、日系メーカーがハイブリッドを軸に中国系EVに対抗する主戦場でもあり、シビックのような人気車種で「楽しさ」を打ち出すことは、ブランドの存在感を保つうえでも意味を持つ。今回の刷新が、タイの消費者にどう受け止められるかが注目される。





