5月27日夜、ノンタブリー県ムアン郡のラチャプルック通り、バンラックノイ高架交差点で、ピックアップトラックが配達ライダーのバイクに追突し、43歳の男性ライダーが死亡した。運転していたのは、国家汚職防止委員会(NACC)の捜査・特別業務局長を務める人物だった。事故直後、警察の調べとして運転手の血中アルコール濃度が189ミリグラム%だったと報じられたが、NACCはその後、本人が一部で伝えられた副報道官ではないことや、飲酒運転や特別扱いを否定する声明を出した。汚職を取り締まる機関の幹部が関わった死亡事故として、事実関係と処分の行方に注目が集まっている。
事故の状況
事故が起きたのは27日午後11時ごろ。通報を受けたバンシームアン署の警察官と、ポーテックトゥン財団の救助ボランティアが現場に駆けつけ、検証には法医学中央研究所の当直医も加わった。
現場の左車線には灰色の電動バイクが横倒しになり、車体後部には追突された跡が残っていた。右車線では43歳の配達ライダーが死亡しており、その状態は激しい衝突をうかがわせるものだった。加害車両の黒いミツビシのピックアップトラックは前部が大きく壊れて走行できなくなり、遺体から離れた地点に止まっていた。
食い違う当初報道とNACCの説明
事故直後には、警察の調べとして、運転していた男の血中アルコール濃度が189ミリグラム%に達していたと報じられた。タイで一般のドライバーに認められる上限は50ミリグラム%であり、この数値はその約3.8倍にあたる。本人が捜査の段階で役職を持ち出し、保釈を求めたとの報道もあった。
これに対しNACCは5月28日に声明を発表した。男の職務は捜査・特別業務局長であり、一部で報じられた副報道官ではないと説明。さらに、アルコールの呼気検査は行われなかったとの報告を受けたとし、飲酒運転かどうかは確認できないとして、事故だったとの立場を示した。役職を利用した特別な便宜はなく、法律に沿って処理すると強調している。警察の初動報道とNACCの説明には食い違いがあり、事実関係は捜査で確定していくことになる。
懲戒調査と今後
NACCは死亡した配達ライダーへの哀悼を示すとともに、事実関係を調べる調査委員会を設置し、懲戒処分も視野に入れているとした。事務総長は、現時点で免職には至らないものの、捜査の結果を待つ間に本人を異動させる可能性があると述べた。
アプリで料理や荷物を運ぶ配達ライダーは、タイの都市生活を支える一方で、交通事故では最も傷つきやすい立場にある。汚職や特権の乱用を監視する立場の機関がみずから当事者となっただけに、最終的にどのような事実認定と処分が下されるのかが問われている。