タイの観光・スポーツ大臣スラサック・パンチャルンウォラグン氏(นายสุรศักดิ์ พันธ์เจริญวรกุล)は2026年5月26日、2026年1月1日から5月24日までの外国人観光客累計が1,342万8,857人に達し、観光収入が6,539億8,600万バーツ(約3兆円)を記録したと発表した。今週はインド市場が累計100万人を突破、週520,536人(前週比+10.95%)に達し、1日平均74,362人のペースに加速している。国別トップ5は中国(223万人)、マレーシア(155万人)、インド(100万人)、ロシア(93万人)、韓国(53万人)で、コロナ後の観光需要回復が本格化している。来週は、イスラム教ハッジ祭(エド・アル・アドハ / Eid al-Adha、犠牲祭)で中東地域からの観光客増加が見込まれ、複数の連休が重なって観光需要のピークが続く見通し。タイで日本ブランドを展開する企業の観光業・小売・サービス業にも、プラスの波及が広がる期間となる。
5ヶ月で1342万人達成、収入6539億B
スラサック大臣の発表内容を整理すると以下の通り。
- 累計外国人観光客(2026/1/1〜5/24): 13,428,857人(1342万8,857人)
- 累計観光収入: 6,539億8,600万バーツ(約3兆円、1B=4.6円換算)
- 1人あたり平均消費額: 約48,700バーツ(約22万4,000円)
タイ政府観光庁(TAT)の年間目標(2026年の外国人観光客約3,500万人)に対して、5ヶ月で約38%を達成している計算。年間目標達成に向けて、後半6-12月の観光需要が引き続き堅調に推移することが期待される。
トップ5国別、中国223万人が首位
国別の累計観光客数(2026/1/1〜5/24)は以下のランキングとなっている。
| 順位 | 国 | 累計来訪者数 |
|---|---|---|
| 1 | 中国 | 2,237,215人 |
| 2 | マレーシア | 1,552,217人 |
| 3 | インド | 1,003,993人 |
| 4 | ロシア | 928,774人 |
| 5 | 韓国 | 525,550人 |
中国は依然として最大の観光客源で、2025年実績(447万人)から約半分のペースを5ヶ月で達成。マレーシアは陸路アクセスでの観光客が中心、インド・ロシアは航空便増加でシェア拡大、韓国は安定したリピーター層を持つ構造。
中国からの観光客、サケーオ事件影響は限定的か
注目される点は、本日5月25日にも報じられた中国観光客への大使館渡航警告(サケーオ警察恐喝事件 [関連])があるにもかかわらず、5月後半時点で中国観光客が首位を維持していること。中国国内SNSでの渡航警告と、実際の渡航行動の間にはラグがあるため、5月末-6月の中国からの観光客数の変化が、今後の重要指標となる。
インド市場、累計100万人突破
特に注目される成長市場が、インド。2026年5月24日までの累計でインド人観光客が初めて100万人(1,003,993人)を突破した。インドは過去5年で急成長している市場で、要因は以下の通り。
- インド人富裕層・中産階級の海外旅行需要拡大
- タイ-インド間の航空便増加(Thai AirAsia、IndiGo、SpiceJet、AirAsia X等)
- ビザフリーまたは到着ビザ簡便化
- インド人結婚式・新婚旅行の人気目的地化
- バンコク・パタヤ・プーケットでの「インド人街」の発展
ロシア(93万人)、韓国(53万人)も底堅い数字で、欧州系・東アジア系・南アジア系の3方向から観光客を集める多様性が、タイ観光業の強みとなっている。
今週週間+10.95%、来週は中東+
今週(5/18-24)の週間来訪者数は520,536人、前週比+51,363人(+10.95%)。1日平均74,362人ペース。来週は以下の好材料が観光業界を後押しする。
- イスラム教ハッジ祭(Eid al-Adha / วันอีดิลอัฎฮา): 中東諸国(サウジアラビア、UAE、クウェート、カタール、バーレーン)の連休
- 中東観光客のタイ訪問増加見込み: 富裕層・家族・医療観光
- 地政学情勢の正常化傾向: ホルムズ海峡情勢の落ち着き
この流れで、来週は累計外国人観光客が1400万人台に到達する可能性が高い。
観光客増、ホテル・小売・飲食に波及
タイの観光業はGDPの約18-20%を占める主要産業で、観光客の増加は以下の業界に直接プラスの影響を与える。
- ホテル業: 客室稼働率と平均客単価の上昇
- 小売業: 高級ブランド・タイ製品・コスメ・食品の売上拡大
- 飲食業: バンコク・プーケット・チェンマイ・パタヤの主要レストラン
- 観光ツアー業: スピードボート、寺院ツアー、ジャングルツアー
- 交通・タクシー: Grab、空港送迎、レンタカー
タイ進出の日本ブランド(伊勢丹、無印良品、ダイソー、ドン・キホーテ、ユニクロ、家電量販店)も、観光客需要の取り込みで売上を伸ばす場面が増えている。
バンコクとパタヤ・プーケット、観光地別の動向
タイの主要観光地別の動向は以下の通り。
- バンコク: 王宮、寺院、市場、ナイトライフ。在留外国人も多く、年間来訪者数2,000万人超
- パタヤ: 中国・ロシア・インド・中東観光客の集中、海岸・ナイトライフ
- プーケット: 欧米富裕層、ロシア人、中国人。アンダマン海ビーチ
- チェンマイ: 自然・寺院・文化観光、欧米バックパッカー
- コ・サムイ: 欧州人富裕層、ハネムーン
- コ・パンガン: フルムーン・パーティ、若年層
各観光地で、観光客の出身国構成が大きく異なるのが、タイ観光の特徴。
観光ピーク期の人混みと価格上昇
観光客数の急増は、タイで生活する人にも実感として伝わる。
- 主要観光地のホテル・レストランの予約困難
- 宝石・コスメ・電気店の混雑
- BTS・MRTの混雑時間帯の拡大
- スワンナプーム・ドンムアン空港のターミナル混雑
- タクシー・Grabの料金高騰
特に5月末-6月初のハッジ祭期間は、中東観光客の家族グループによる長期滞在で、バンコクのホテルレートが上昇する可能性がある。
アヌティン政権の観光戦略、3500万人目標
アヌティン政権は2026年の外国人観光客目標として3,500万人を設定している。コロナ前(2019年)の4,000万人には及ばないものの、現在の月間ペース(約270万人)が継続すれば、目標達成は十分視野に入る。観光産業はタイ経済の柱の一つで、政府は引き続きインバウンド振興、観光ビザ簡便化、地方都市観光促進などの政策を進めている。


