タイのいすゞ自動車(Isuzu Motors Thailand)は2026年5月25日、ピックアップトラック「ISUZU D-Max V-Cross」の新グレード「Double Cab 2.2 Z 8AT 4×4」を1,066,000バーツ(約490万円)で発売した。最大の特徴は、ADAS(先進運転支援システム)を「手動で無効化する必要がなくなった」改良版で、運転者が機能オン/オフを毎回切り替える煩雑さから解放される点。エンジンは2.2L ターボディーゼル「RZ4F-TC」(2,164cc・163馬力・400Nm)、トランスミッションは8速ATでパドルシフト付き、駆動はパートタイム4WD、燃料タンク76L。ボディサイズは全長5,280mm・全幅1,870mm・全高1,810mm・ホイールベース3,125mm・最低地上高240mmで、本格オフロード走破性能を維持。カラーは「Dolomite White Pearl」(+7,000B)を含む5色展開。
ADAS手動オフ不要が最大の改良点
D-Max V-Cross 2.2 Z 8AT 4×4新グレードで最も注目される改良点が、ADAS(Advanced Driver Assistance System / 先進運転支援システム)の制御方式変更。これまでのD-Maxシリーズでは、ADASの一部機能(車線維持・前方衝突警報・自動緊急ブレーキ等)が、運転状況によっては誤作動や煩わしさを感じる場面があり、ドライバーが手動でオン/オフを切り替える必要があった。
新グレードでは、ADASの判定アルゴリズムが改良され、ユーザーが手動で機能を無効化しなくても、状況に応じて適切に動作するようになった。タイ語の記事タイトルでも「ไม่ต้องคอยกดปิดระบบ ADAS(ADASを手動で切る必要がない)」と強調されており、ドライバーの操作負担軽減が前面に押し出されている。
2.2Lディーゼル163PS/400Nm、低中速トルク重視
エンジン仕様は以下の通り。
- 型式: RZ4F-TC(2,164cc、4気筒ターボディーゼル)
- 構造: DOHC 16バルブ、コモンレール式直噴(250MPa)
- 最高出力: 163馬力 @ 3,600rpm
- 最大トルク: 400Nm @ 1,600-2,400rpm
- 燃料: ディーゼル(B20バイオディーゼル対応)
400Nmの最大トルクが1,600-2,400rpmという低中速回転域で発揮される設計は、ピックアップトラックの典型的な使用シーン(積荷搭載時の発進、長距離高速巡航、オフロード坂道走破)に最適化されている。
8速AT+パドルシフト+パートタイム4WD
トランスミッションは8速オートマチック、パドルシフト(+/−手動切替)付き。8速化により、街乗りでのスムーズなギアシフト、高速走行時の低回転巡航、燃費向上のメリットが期待される。駆動方式はパートタイム4WD(part-time 4WD)で、2WDモードでの燃費走行と4WDモードでの悪路走破性を両立。燃料タンクは76L、満タンで長距離移動が可能。
寸法は全長5,280mm、ベッド長1,495mm
ボディサイズは以下の通り。
- 全長: 5,280mm
- 全幅: 1,870mm
- 全高: 1,810mm
- ホイールベース: 3,125mm
- 最低地上高: 240mm
- 荷台寸法: 長1,495mm × 幅1,530mm × 高490mm
最低地上高240mmは、洪水時のバンコク・地方道路を含むタイのオフロード走破性能を確保する数値で、観光地・地方プロジェクト・農業用途の利用に対応する。
カラー5色、Dolomite White Pearlは+7,000B
カラーラインアップは以下の5色。
- Dolomite White Pearl(ドロマイト・ホワイト・パール、+7,000B)
- Bohemian Silver Metallic(ボヘミアン・シルバー・メタリック)
- Elbrus Grey(エルブルス・グレー)
- Inishmore Grey(イニシュモア・グレー)
- Bavarian Black Mica(バヴァリアン・ブラック・マイカ)
パールホワイトは追加料金7,000バーツ(約32,000円)で、他の4色は標準価格。
装備、8インチタッチパネル+ワイヤレスApple CarPlay/Android Auto
内装と装備のハイライトは以下の通り。
- 8インチタッチパネルディスプレイ
- ワイヤレスApple CarPlay/Android Auto対応
- LEDライティング(ヘッドライト・テールランプ・室内灯)
- 強化セーフティパッケージ
- 改良された内装素材
スマホとのワイヤレス接続対応は、ピックアップトラックのプライス帯では先進的な装備で、商用利用・私用利用の両方でユーザビリティを高める。
いすゞD-Max、タイ・ピックアップ市場の主力
ISUZU D-Maxは、タイのピックアップトラック市場でトヨタ・ハイラックス(Hilux)と並ぶトップシェアブランド。耐久性・信頼性・低運用コストで、農業従事者・中小事業者・地方居住者から長年支持されている。タイのいすゞ自動車のサムローンプラカン工場で生産される国内生産モデルが大半を占め、東南アジア・中東・オーストラリア・欧州・南米へも輸出される主力車種となっている。
V-Crossは、D-Maxの中でも高グレード・オフロード志向の派生モデルで、エクステリアの専用デザイン、スキッドプレート、内装の上位仕様などで差別化されている。今回の2.2 Z 8AT 4×4新グレードは、V-Crossシリーズ内での装備充実版という位置付け。
日本車のタイ・ピックアップ市場、中国EV勢への対抗
タイのピックアップトラック市場は、・トヨタ・三菱(Triton)・フォード(Ranger)・日産(Navara)などの伝統的ブランドが占めてきた。近年は中国EV勢(BYD、Geely、Aionなど)が乗用車市場で攻勢を強めているが、ピックアップ分野ではディーゼルエンジンとオフロード性能の信頼性で日本車・米国車が優位を維持している。今回のいすゞ V-Crossの新グレード追加は、中国系SUV・EVの攻勢に対する日本メーカーの応答の一環と位置付けられる。