タイ西部サムットソンクラーム県(จ.สมุทรสงคราม / Samut Songkhram)アムパワ郡イーサーン町(ต.ยี่สาร)4村のイーサーン-バンタブーン通り(ラマ2号線方向)沿いで2026年5月26日、66歳のタイ人ドライバー、ソムサック・チャイサマット氏(นายสมศักดิ์ ใจสมัด)が運転していた10輪のイスズ・トラック(ナンバー 81-6966 ペッチャブリー登録)が、走行中の喘息発作によりハンドル操作を失って横転、積み荷の塩約16トンが荷台にいた31歳のミャンマー人労働者チャ・ミン・トルー氏(นายชา มิน ทรู / Char Min Tru)を直撃し、塩の山の下で即死する事故が発生した。イーサーン警察署副捜査官スパニット・ミーパン警察大尉(พ.ต.ต.ศุภนิจ มีพันธ์)が事故処理を指揮、救助団体「スワン・ベンチャタンマ・サムットソンクラーム財団」と協力して、塩の山を取り除く困難な作業の末に遺体を引き上げた。タイ国内のミャンマー人労働者の安全管理と、職業ドライバーの健康管理の双方に課題を投げかける痛ましい事故となった。
5/26朝、イーサーン-バンタブーン通り、ラマ2号線方向
事故発生はサムットソンクラーム県アムパワ郡イーサーン町(タンボン・イーサーン)4村のイーサーン-バンタブーン通り。同道路はラマ2号線(ถนนพระราม 2 / Rama 2 Road)へ向かう接続道路で、バンコク・サムットソンクラーム間の物流ルートとして利用されている。
通報を受けてイーサーン警察署副捜査官スパニット・ミーパン警察大尉(สว.สอบสวน)が現場に出動、救助団体「スワン・ベンチャタンマ・サムットソンクラーム財団(มูลนิธิสว่างเบญจธรรมสมุทรสงคราม / Sawang Benchatham Foundation Samut Songkhram)」とともに事故処理にあたった。
10輪イスズ・トラック、車輪を上に向けて道路脇に転覆
事故車両は10輪のイスズ・トラック(ペッチャブリー県登録ナンバー 81-6966)。塩の輸送業務に従事していた商用車両だった。事故時、車両は道路脇に転覆して車輪を上に向けた状態(ล้อชี้ฟ้า / wheels up)で発見された。荷台にあった約16トンの塩(เกลือ / salt)が一気に放出され、車両周辺に塩の山ができていた。
運転手は66歳のソムサック氏、走行中の喘息発作が原因
警察の初期事情聴取により、事故の原因が明らかになった。運転手は66歳のタイ人男性ソムサック・チャイサマット氏(นายสมศักดิ์ ใจสมัด)。長年の喘息(หอบ / asthma)持病があり、走行中に喘息発作(หอบกำเริบ / asthma attack flare-up)が起きた。発作を抑えるための吸入器(ยาพ่น / inhaler)を取り出そうと運転席で物を探していた瞬間、ハンドル操作を失った。トラックは道路から外れて転倒、車輪を上に向けた状態で停止した。ソムサック氏自身は重傷を負ったとみられるが、死亡には至らなかったと推定される。
ミャンマー人労働者チャ・ミン・トルー氏(31歳)、塩16トンの下敷きで即死
事故車両の荷台に同乗していたのが、31歳のミャンマー人労働者チャ・ミン・トルー氏(นายชา มิน ทรู / Char Min Tru)。トラックの転倒に伴い、荷台にあった16トンの塩が一気に降りかかり、チャ・ミン・トルー氏は塩の山の下に埋もれた。塩の重量に押しつぶされて即死状態となった。
警察と救助隊員は、現場で「塩の山を取り除いて遺体を取り出す」という非常に困難な作業に追われた。塩は粉状に近い細かい粒子で、堆積した塩を素手で取り除くと舞い上がって視界を遮るうえ、塩そのものの重量が累積する。重機やシャベルで慎重に塩を取り除きながら、遺体に到達するまでに長時間を要した。
タイのミャンマー人労働者、200万人超の脆弱な労働環境
タイ国内には推定200万人以上のミャンマー人労働者が居住し、建設・農業・水産業・家事・繊維工場・物流輸送など多様な産業で働いている。今回のチャ・ミン・トルー氏のような「商業トラックの荷台に同乗して輸送業務を補助する」労働形態は、タイの物流業界で珍しくないパターン。荷台での着座、シートベルト未装着、転倒時の重大事故リスクが指摘されてきた。
雇用主側の責任、労働許可証(work permit)の有無、労災補償の対象になるかどうかも、事故の調査と並行で確認が進められる。
高齢ドライバーの健康管理、喘息発作と運転リスク
66歳という年齢で10トン超の大型トラックを運転していた件も、議論の対象となる。タイでは商用大型車両の運転は年齢制限が緩く、健康状態の定期的なチェックも雇用主任せの面が大きい。喘息のような慢性疾患を持つドライバーが、運転中の発作で事故を起こすケースは少なからず発生しており、雇用主・運送業界・交通省にとって安全管理体制の見直しが課題となる。
吸入器を運転席で容易に手の届く位置に固定する、運転前の発作チェックを義務化する、長距離運転時の医師同乗・休憩時間の確保など、複数の対策が考えられる。
塩輸送業務、サムットソンクラーム・ペッチャブリーの主要産業
サムットソンクラーム県・ペッチャブリー県は、タイ湾沿岸の塩田(นาเกลือ / salt farm)地帯として知られる。海水を浅い田に引き入れて天日蒸発で塩を生産する「天日塩」の産地で、ハッヤイ・チョンブリ・ナコンパトムなどの加工場へトラックで運搬される物流が日常的に発生している。10輪トラックで塩16トンを輸送するパターンは、同地域の典型的な物流。今回の事故車両もこの塩輸送ルートに従事していたとみられる。



