タイ・チャチェンサオ県ムアン郡ナームアン町のワット・レームタイ(วัดแหลมใต้)で5月24日、ひび割れて傾きが進んでいた古い仏塔(チェディ)の修復作業中に、地下に並んでいた4つの部屋から100年以上前の古代仏像数十体が見つかった。出土したのは現王朝ラタナコーシン時代の真鍮製・銀製・木製・銀貼り製の小型仏像で、専門家の鑑定によれば、仏塔はラマ3世(ジェッサダーボディン王、在位1824-1851)からラマ4世(モンクット王、在位1851-1868)頃の建立で、100年以上前の作とみられる。寺の住職プラクル・タムマトンチャムロン(チャムロン・ロチャナタムモ)氏は、出土した仏像は寺の博物館で保管し、賃貸(レンタル=信徒に貸し出す)はしない方針を明言している。
仏塔のひび割れと傾きが発端、地下から4部屋
事案の発端は古い仏塔(チェディ)にひび割れと傾きが発生し、倒壊の危険が出ていたこと。寺と地元当局は修復に先立ち、仏塔本体を移動する工事を進めるため、地盤調査と基礎の掘削に着手した。作業2日目に入った5月24日、掘り進めるうちに地下に4つの部屋が並んで存在することが判明し、それぞれの部屋に大量の古代仏像が収められていた。
1日目に真鍮・銀製数十体、2日目に木製・銀貼り製数十体
掘削1日目には、ラタナコーシン時代様式の真鍮製・銀製の仏像が数十体発見された。続く2日目の作業では、サイズの小さい木製仏像、真鍮製、銀箔を貼った小型仏像など、形状の異なる仏像群が新たに数十体出土。合計で100体以上が地下に保管されていたとみられる。寺の関係者は出土した仏像を一旦、前任住職の僧坊(クティ)に集めて保管している。
ラマ3-4世時代の仏塔、100年超の歴史
住職のプラクル・タムマトンチャムロン氏によると、この仏塔はラマ3世からラマ4世の時代に建てられた可能性が高く、100年以上の歴史を持つとみられる。ワット・レームタイ自体は仏暦2476年(西暦1933年)の創建とされるが、地元の高齢者の証言では「子供の頃から仏塔があった」とされ、仏塔は寺院の正式創建よりも先に存在していた可能性がある。歴史的考証のために、住職は88歳のプラタンマパリヤッティムニー師を招いて確認作業を進めている。
出土仏像は寺の博物館で保管、賃貸はしない
タイの寺院で発掘される古代仏像は、信徒にレンタル(プラクラム=お守りとして貸し出す)されるケースもあるが、ワット・レームタイの住職は今回の出土仏像については「寺の博物館で大切に保管し、賃貸はしない」と明言した。歴史的価値の高い仏像群を散逸させず、後世に伝えるための判断とみられる。出土仏像の正確な数、製造年代、製作様式の鑑定は今後、文化省や地元の歴史研究者と連携して進められる見通し。
修復をきっかけにした「予期せぬ仏像発見」はタイで時々起きる
タイの寺院の仏塔や仏堂の修復作業中に、地下や台座から古代仏像が発見されるケースは時々報じられてきた。タイの仏教文化では、仏像を埋納して仏塔を建立する伝統が古くから存在し、ラタナコーシン王朝期の寺院ではこうした「埋納仏像」が地下空間に残されているケースが多い。今回のワット・レームタイの出土も、こうした文化的背景に沿った発見と言える。



