サッカーのワールドカップ2026の開幕が3〜4日後に迫るなか、タイではいまだに放映権が決まっていない。FIFA(国際サッカー連盟)との交渉が難航しており、このままでは全104試合がタイで放送されない「ブラックアウト」の恐れが現実味を帯びている。
FIFAの要求額と提示額に大きな開き
関係者によると、FIFAが求める放映権料は4,000万ドル(約13億バーツ)を超えるとされる。一方、交渉にあたっている民間企業ジャスミン・インターナショナル(JAS)の提示額は1,500万ドル前後で、大きな隔たりがある。スポンサーがつかず、広告収入の見通しも厳しいうえ、中東情勢などの不確実性も重なり、交渉は決着していない。タイの1人あたりの負担額は、ベトナムなど他国の10〜20倍に上るとも指摘されている。
近隣国はすでに確保、取り残されるタイ
東南アジアの近隣国は、すでに放映権を確保している。ラオス、カンボジア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、東ティモール、ベトナムが放送を決めた一方、タイはミャンマー、ブルネイとともに、開幕直前になっても権利を得られていない。世界が熱狂する4年に一度の大会で、近隣国が次々と放送を決めるなか、タイだけが取り残されかねない状況である。
政府も動くが間に合うか
事態を受けて、タイ内閣は放映権の確保を指示した。アヌティン首相は、タイ国民がワールドカップを視聴できるようにすると約束している。ただ、首相府のスパマス大臣は5月19日の時点で交渉の難しさを警告しており、開幕まで残り数日というぎりぎりの状況が続く。多くの試合は深夜から早朝の時間帯にあたり、広告価値が低いことも、交渉を一層難しくしている。
ファンはやきもき
ワールドカップは、タイでも絶大な人気を誇る。放送が決まらなければ、多くのファンが試合を見られず、違法な配信に流れる懸念もある。政府が「視聴できる」と約束しているとはいえ、契約が成立しなければ意味がない。開幕のホイッスルまでに、タイのテレビでワールドカップが見られるのか。残された時間はわずかである。