タイ内閣は5月19日、アヌティン・チャンウィークン首相を議長とする閣議で「タイ救援タイプラス(ไทยช่วยไทยพลัส)」「コンラクルンプラス(คนละครึ่งพลัส)」「国民福祉カード(บัตรสวัสดิการแห่งรัฐ)」の3つの生活費支援策を承認した。財源は3月に発令された4,000億バーツの借入緊急勅令で、登録は5月25日(火)から始まる。
中心になるのは「タイ救援タイプラス」だ。報道によると、政府が60%、市民が30%を負担する補助のかたちで生活費を支えるしくみで、対象はおよそ3,000万人。1人あたり月1,000バーツの補助が2ヶ月続く。タイの就労年齢人口に対してかなり広く網をかける規模で、低所得層を中心に消費の底支えを狙った設計だ。
合わせて承認された「コンラクルンプラス」は、もともとコロナ禍の2020年に始まった政府と市民で半額ずつ負担する消費補助プログラムの最新版。コンビニやスーパー、屋台などの小売現場で使われる、生活実感に直結する制度で、過去複数回にわたって実施されてきた経緯がある。今回はこれに国民福祉カードの仕組みも組み合わさるかたちで、複数の窓口から生活費支援が走る格好になる。
引っかかるのは、財源になっている4,000億バーツ借入緊急勅令の扱いだ。憲法裁判所が違憲審査を受理している案件で、ここの結論次第では実施スキームそのものが影響を受ける可能性がある。政策の中身は決まったが、それを支える財源の足場がまだ揺れている、という状態だ。
中東情勢の悪化で物価への圧力が消えない中、国民の懐に直接届くタイプの支援に踏み込んだ、というのが今回の判断のシンプルな読み方になる。2ヶ月という短さは、効くか効かないかが早めに見えてくる時間軸でもある。5月25日からの登録の混み具合と、6月以降の店頭の動きが、いちばん分かりやすい体温計になりそうだ。