タイ内閣は5月19日、アヌティン・チャンウィークン首相が議長を務めた閣議で、現行の「60日間ビザ免除滞在制度(93カ国対象)」を廃止し、以前の「30日間ビザ免除制度(57カ国対象)」に戻す方針を正式に承認した。閣議後、ソラウォン・ティエントーン観光・スポーツ大臣が記者団に確認している。実施時期は官報掲載とシステム改修を経た数週間内とされる。
日本も含めて、これまで60日のビザ免除で入国できていた国の旅行者は、新ルールに切り替わる時点から30日に短縮されることになる。5月18日に閣議で議論が始まり、その翌日には正式承認まで進んだ、というスピード感だ。
ソラウォン大臣によると、観光省の提案を起点に、外務省と関連機関の同意を経て承認まで持ち込まれた、という流れだという。背景に置かれているのは、中東情勢悪化のなかで観光客に紛れた潜伏や無認可労働への懸念だ。前段で報じた廃止検討の段階から、政府はこの「観光目的」と「実質的な長期滞在」の線引きを引き直そうとしていて、それが30日へのリセットというかたちで実装される、ということになる。
気になるのは、廃止の話と前後して語られているETA(電子渡航認証)の構想だ。事前に入国前に審査を済ませる仕組みで、本格運用に入れば「免除なのに事前申請が必要」という、やや矛盾めいた表情を持つ制度に近づいていく。観光客の入り口を広く開けながら、入る前にひと枠通す。30日に戻すという今回の判断は、その入口の整理のひとつとも読める。
すでに6月以降にタイ旅行を計画している人にとっては、滞在30日の枠内で予定を組み直せるかどうかが現実的な論点になる。長めに考えていたなら、観光ビザの取得やDTV(デジタルノマドビザ、5年・1回最長180日)など、別のルートを早めに検討しておきたい。



