タイ閣議が共同支払い刺激策「コンラクン+(Khon La Khrueng Plus)」を承認した。総予算440億バーツで18歳以上の国家福祉カード非保有者を対象に、一般市民は政府が2000バーツ補助(50:50比率)、税務システム登録者は2400バーツ補助(60:40比率)を受けられる仕組みで、対象人数は2000万人規模となる。財源は2025年度緊急予備費220億バーツと2026年度プロジェクト予算190億バーツから手当する。
「コンラクン+」は2020年以降のコロナ禍で実施され大きな効果を上げた共同支払い(co-payment)刺激策の系譜にある。利用者がアプリ経由でレジで決済すると、政府がリアルタイムで補助分を上乗せして決済する方式で、過去の実施では中小規模の屋台・食堂・小売店の売上を底上げしてきた。1日あたりの利用上限などの細則は財務省告示で発表される見通しだ。
今回の特徴は、税務システムに登録済みの市民への優遇だ。一般市民が政府50・自己50で2000バーツの恩恵を受けるのに対し、税務登録者は政府60・自己40で2400バーツとより大きな補助を得る。これは「税申告促進」と「消費刺激」を同時に狙う設計で、所得を捕捉している層への政策インセンティブを強める意図がある。
財源については、2025年度の緊急予備費220億バーツと2026年度のプロジェクト予算190億バーツの組み合わせで賄う。中東情勢を受けた燃料費補助・債務膨張への対応など他の財政負担も同時並行で進む中、消費喚起策としては比較的早期に予算成立した形だ。
在タイ日本人にとってコンラクン+自体は対象外だが、配偶者・スタッフがタイ国籍であれば家計の支出構造に影響する。さらに、この種の消費刺激策が動くと、日本食レストラン・日本食小売・日本企業のタイ拠点小売事業(コンビニ、量販店、食品メーカー)でも参加店舗の売上は確実に伸びる傾向がある。実施開始日と参加店舗登録手続きは、財務省と政府貯蓄銀行(GSB)が今後発表する見通し。
過去の実施では「国民の半数以上が利用」する規模感だったため、コンラクン+の発動は短期的にタイ国内消費の上振れ要因となる。閣議承認段階のため、実施開始時期は今後の財務省告示待ちだ。