タイ商務省国内商務局(DIT)のウィタヤコン・マニーネット局長が2026年5月2日、中部サラブリ県とパトゥムタニ県のパーム農家を直接訪問し、世界的な燃料価格高騰を受けてパーム油の国内エネルギー部門需要が増加し、パーム生果(FFB)の卸売価格が1キログラムあたり6.80-7.20バーツへ上昇したと発表した。輸出も2026年4月7日から5月2日までの期間に11社・合計20万トン超を許可し、需給バランスの改善が進んでいる。
訪問はスパチー・スターパン副首相兼商務大臣の指示によるもので、サラブリ県・パトゥムタニ県のパーム農家が「価格と輸出状況」への懸念を商務省に提出したことを受けた現地ヒアリング。マナス・プッタラット全国パーム農家連盟代表、製油工場の代表、地元農家グループと直接対話し、現場の声を聞いた。
DIT局長は「商務省はパーム油全体のサプライチェーン、国内消費、輸出をバランスよく管理し、市場メカニズムを反映した公平な価格形成を支援する」と述べた。輸出については「現状でも通常通り出荷可能で、国内在庫管理の枠内で運営できている」と強調し、4月7日以降の許可実績として11社・20万トン超という具体的な数字を示した。
世界的な燃料価格高騰の局面では、ディーゼル燃料の代替としてパーム油由来バイオディーゼルの需要が増えるのが恒例だ。タイ政府は石油輸入依存の低減とエネルギー安全保障の観点からバイオディーゼル使用を継続的に推進しており、先日もPTT StationがB20軽油拠点を全国120ステーションに拡大したばかり。今回の生果価格上昇は、その内需吸収効果が末端の農家所得に波及し始めていることを示す。
タイ国産パーム油は南部のスラータニー、クラビ、チュムポーンなどが主産地で、中部のサラブリ・パトゥムタニも周辺加工工場を支える生産地として位置付けられる。FFB価格1キログラム7バーツの水準は、農家の生活費・肥料コスト・人件費を考えると採算の分岐点とされ、6バーツ台への低迷は農家の不満を直接呼ぶ。今回の7バーツ台への回復は、政府の需給管理が一定の効果を上げていることを示す。
在タイ日本人にとっても、パーム油価格は調理油・菓子・洗剤・化粧品などの原材料価格に間接的に影響する。スーパーマーケットの食用油棚やレストランの揚げ物メニューの価格動向にも、今後数ヶ月の波及が予想される。