赤シャツ運動の指導者ウォーラチャイ・ヘマ氏が2026年5月2日、タクシン・チナワット元首相が5月11日朝にバンコク特別刑務所(クロンプレム中央刑務所)から出所する見通しを明らかにし、前夜の5月10日夕方から刑務所前で千人規模の出迎え集会を開く計画を発表した。10日夜は夕食会と過去の民主化運動を振り返るパネル討論を予定し、11日朝の出所を待つ流れになる。
ウォーラチャイ氏によれば、赤シャツ支持者は毎週日曜日にすでにタクシン氏激励の集まりを続けているが、5月11日の特別な節目に向けては前夜から大規模な動員をかける。「過去最大」と本人は言わないものの、「千人以上は集まる見込み」と述べ、民主主義と公正を愛するすべての人に参加を呼びかけた。
引退論への反論も明確だ。「タクシン氏は仮釈放後に政治から手を引くべき」との保守派の声に対し、ウォーラチャイ氏は「現在の経済・燃料・冷戦・経済戦争の複合危機を解決するには、タクシン氏の経験・能力・国際的人脈が必要だ」と語った。1997年のアジア通貨危機を当時のタクシン首相が乗り越えた実績を引き合いに、「政治は権利の制限ではなく、誰がどれだけ国民の役に立てる知識を持つかだ」と述べ、最低でも公の場での意見表明と政策提言という形での関与を期待する姿勢を見せた。
タクシン氏は5月1日にも仮釈放後の電子足輪(EM)取り外しの可能性が司法省から示唆されており、健康問題を理由とした申請が認められれば残刑期4ヶ月でEM足輪も外れる可能性がある。出所後の動静は、現在のアヌティン・チャーンウィラクン首相政権を支えるプアタイ党の方向性、次回バンコク知事選、来年の総選挙に直接的に影響する。
赤シャツ運動は2010年のバンコク中心部占拠と軍による鎮圧で90人を超える死者を出した歴史を持ち、その後もタクシン派支持基盤として存続している。今回の出所イベントは、運動の存在感を改めて社会に示す機会となる見込みだ。
在タイ日本人にとってもタクシン氏出所と政治復帰の動きは長期的なビジネス環境に影響する話題だ。同氏は1997年危機後に外資誘致と国内消費刺激を組み合わせた経済政策を打ち出した実績があり、現在のアヌティン政権が進めるエネルギー政策・貿易政策の路線にも影響を与える可能性がある。10日夜から11日朝にかけてはクロンプレム周辺で交通規制と警察動員が見込まれるため、近隣居住者は移動経路を事前に確認したい。