タイ社会開発・人間安全保障省(พม.)のニコン・ソーマクラン大臣が2026年5月1日、中東情勢に伴う世界的なエネルギー価格高騰を受け、政府機関のソーラールーフ設置を全国規模で加速すると発表した。同省303機関中44機関は2567年(西暦2024年)以降に既設で、エネルギー規制委員会(กกพ.)電力開発基金で11機関が審査中。さらに2570年(西暦2027年)度予算として1400万バーツを計上し、新たに32機関への設置で発電容量555kWを追加する計画だ。
背景には中東情勢の長期化があり、世界中の燃料コスト上昇が各国の物価とエネルギー安全保障を圧迫している。タイも例外ではなく、アヌティン・チャーンウィラクン首相政権が2026年4月9日に発表したエネルギー政策で、清浄エネルギーと再生可能エネルギーへの転換、政府機関の電力・燃料消費を最低20%削減する目標を打ち出した。
20%削減のため政府機関に求められた具体的な節電策は次のとおり。エアコン設定温度を26度に統一する、昼休みや終業前30分に照明・エアコンを停止する、不使用のオフィス機器のプラグを抜く、照明をLEDに切り替える、そして建物・施設に「ソーラールーフ」(屋根置き太陽光発電)を導入する、というものだ。
社会開発・人間安全保障省はこの政策を率先して進める形で、傘下の「センター・施設・家庭・工業団地」(ศูนย์-สถาน-บ้าน-นิคม)を全国で対象に含めている。同省は社会的弱者の保護施設、高齢者ホーム、障がい者支援センターなど多数の現場を抱えており、電力コスト削減はそのまま支援サービスの維持・拡充に直結する。
タイ全体としては、4月末にも「ソーラー国民」プログラムが閣議で承認されており、家庭の屋根設置太陽光の余剰電力を10年契約・1ユニット2.20バーツで買い取る制度が6月から始まる予定だ。今回の社会福祉省の動きはこの民間向け政策と並走し、「政府+家庭」の両輪で太陽光普及を加速させる構図となる。
在住者にとっても、自宅コンドミニアムの管理組合や、勤務先のオフィスビル管理側でこの動きは無関係ではない。電気料金がさらに上昇する局面では、施設単位での節電・ソーラー導入が共益費・賃料に跳ね返るため、自宅・職場の電力消費構造を見直す好機となる。