タイ東北部ナコンラチャシマ県の中国人偽出生届事件で2026年5月1日、警察がポー・グラーン町テッサバン職員(登録専門官)、元ホアイタレーン郡長補佐、元同郡役場契約職員の3人を逮捕した。同2日午前3時には犯罪捜査局(CIB)が3人を別場所へ移送し、本格的な取り調べに入っている。偽出生届の対象は当初判明していた中国人45件から50件超に拡大し、ミャンマー国籍も含まれる構成と判明した。
元ホアイタレーン郡長補佐は、中国側のオーダーを受けて1人あたり5万バーツ(約20万円)の手数料で偽出生証明書を発行する仕組みを構築していた疑いがあると、同日のMatichon続報で報じられた。新たに18件の偽届出が追加で発覚し、対象人数の押し上げ要因となった。
ポー・グラーン町長キティポン・ポンスラウェット博士は、町役場の登録業務について過去5年分の文書を遡及的に再点検するよう指示した。今回逮捕された町職員は登録専門官の肩書を持ち、内部で「正規の手続き」として偽届出を処理する権限を悪用していたとみられる。出生証明書はタイ国籍取得の入口となるため、警察は5万バーツ×50件で少なくとも250万バーツ(約1000万円)規模の不正収益が動いた可能性を視野に捜査を続ける。
コラート偽出生届事件は4月末にキティポン町長が当初27件で告発、その後45件、6組の双子という不自然な構成へと拡大してきた。直近では陸軍がサナリ陸軍基地病院の関与を否定し、病院名は犯罪組織に詐称されただけだったと公式発表していた。今回の逮捕で、医療機関側ではなく自治体登録職員と元郡役場職員の組織犯罪である構図が確定した形となる。
同種の事件はバンコク・トンブリ区でも100件超の偽出生証明発行で6人逮捕が4月29日に公表されており、地方自治体の登録業務に対する不正アクセスがタイ全土で並行的に進行していた疑いが強まっている。
在タイ日本人にとっても、出生届・婚姻届・相続関連書類の信頼性は在留生活の根幹に関わる。地方役場の登録業務に対する電子化と本人確認強化、内部監査の頻度向上、そして関与した職員への厳しい処分が、今後の制度改革に直結する焦点となる。