チェンマイ大学美術学部の上級教授ML.スラサワット・スックサワット氏が、2026年4月28日午前5時ごろにチェンマイ700周年スタジアムで自転車での運動中に車に追突されて死亡し、その場から逃げた運転者が3日後の5月1日にチャーン・パウェック警察署へ自首したことが、チェンマイ県警の発表で明らかになった。被害者は搬送先のナコンピン病院で骨折と全身損傷により息を引き取った。
事故は早朝の薄明の時間帯、被害者が日課のサイクリング中に発生した。チェンマイ700周年スタジアムは1995年にタイ国体「ガオラオイ・ピー・チェンマイ」のために整備された総合スポーツ施設で、市内の自転車・ジョギング愛好家が朝夕に集まる定番スポットだ。事故後、運転者はその場から逃走したが、3日後の5月1日にチェンマイ県警ユッタナー・ケンチャン警視正の指揮下で捜査が進む中、自ら警察署に出頭した。警察は法に基づいて手続きを進めている。
故ML.スラサワット教授は、王族の血筋を引く称号「モムラチャウォン(ML)」を持つ学者で、チェンマイ大学美術学部で美術史や芸術論を教えていた。被害者の遺体は現在、チェンマイ郡のワット・パー・ペーンで法要が執り行われており、5月2日に王族下賜の火葬式が予定されている。
事件を受けて、地元の自転車愛好家グループ「日曜サイクリングクラブ」をはじめとする複数の市民団体がSNSで声を上げ、チェンマイ県知事や関係機関に対して自転車利用者の安全対策強化を要望した。早朝の薄暗い時間帯にスタジアム周辺の道路を走るサイクリストが多く、ヘッドライト・反射材・専用レーンといった基本的なインフラと法執行の徹底が改めて争点となっている。
タイの交通事故死亡率は2022年の世界保健機関(WHO)統計で人口10万人あたり25.9人と東南アジア最悪レベルにあり、二輪車と自転車利用者が大きな割合を占めている。チェンマイは観光都市として外国人ライダーやサイクリストも多く、在住・滞在中の日本人にも他人事ではない。早朝・夜間の運動は、目立つウェアと光源確保、可能な限りの専用ルート選択が安全策の基本となる。