タイ東北部ナコンラチャシマ県スンノエン郡ナークラン区のミットラパープ高速122+600km地点で2026年4月30日午後4時58分、走行中のピックアップトラックが街路樹に激突し、運転していた36歳の父チューキアットさんと助手席の妻ハタイラットさん(32)が即死した。後部座席にいた5歳の娘は車内に閉じ込められたが命に別状はなく、救出された。
レスキュー隊が車の残骸を切断して娘を引き出している最中、意識のあった少女は隊員に「お父さんとお母さんは死んじゃったの?私も死んじゃうの?」と問いかけた。一同は深く動揺しながらも、少女を励まし続けて無事に外に運び出した。両親の遺体はスンノエン郡のワット・スカワディーで法要が営まれている。
事件が報じられると、タイ国内外から少女を養子にしたいという問い合わせがレスキュー隊長のもとに殺到した。タイ人だけでなく外国人からの連絡もあり、特にSNS拡散後の反応が大きかったという。一方で親族は2026年5月1日、自分たちで娘を育てていく意思を改めて示し、「金銭的な寄付や物品の支援は一切受け付けない」とメディアを通じて発表した。
親族側は、事件をきっかけに同情を装った詐欺行為が起きる懸念を強調した。タイでは過去にも、痛ましい事故で身寄りを失った遺族を装って「治療費」「葬儀費用」「養育費」といった名目で振込口座を公開し、寄付金を騙し取る事例が繰り返し問題化してきた。今回も親族の名を騙ったLINEアカウントや口座番号がSNS上に出回る可能性があるため、見ず知らずの寄付呼びかけに反応しないよう周囲に呼びかけた。
タイの自動車事故は世界保健機関の統計でも東南アジア最悪レベルが続いており、特にミットラパープ高速のような長距離幹線道路では、休暇シーズン前後に重大事故が集中する。今回の事故も連休(メーデー)前夜のタイミングで起きた。在住者にとっては、長距離移動時のシートベルト着用やチャイルドシートの徹底、休憩の確保が改めて意識される事案となった。