タイのブリーラム県チャルームプラキアット郡にあるサンチャオポー・プラサートトーン(ศาลเจ้าพ่อปราสาททอง)で2026年5月1日、神社内に祀られていた3体の聖像が突如外側に移動された状態で発見される事件が起きた。地元の住民や僧侶が驚きを隠せない状況で、「古物盗難団が盗み出そうとしたものの、霊現象(สิ่งลี้ลับ/タイ語の「不思議な何か」)に遭遇して怯え、現場に置いて逃げた」という説が地元で広まっている。場所は世界遺産候補のパノムルン山登山口付近で、宗教観光客と地元信徒の集まる神聖なエリアだ。
発見の経緯は、信徒たちが朝の参拝のためにサンチャオポー・プラサートトーンを訪れた際に判明した。3体の聖像が本来の安置場所からなくなっており、周囲を確認したところ、神社の裏側に整然と置かれているのを発見したという。物理的な損傷はなく、誰が・なぜ・どうやって移動させたかも不明のまま、信徒・僧侶・地域住民は不可解な状況に困惑している。
複数の推測が地元で語られている。最も多いのが「古物盗難団による犯行説」で、タイの寺院・神社では数百年〜千年以上の歴史を持つ仏像・聖像・装飾品が国際的な古美術市場で高値で売買されており、盗難団が標的にする事例が断続的に発生している。今回の場合、盗難団が3体を運び出そうとしたが、神社特有の「ลางสังหรณ์(霊感・予感)」「เสียงลึกลับ(怪しい音)」のようなタイ特有の超常現象に遭遇し、恐れて現場に置いて逃げた、という説が住民の間で支持されている。
別の説は「特定の宗教的信仰に基づく行為説」で、何らかのカルト集団・呪術師・占い師が独自の祭礼目的で聖像を移動させた可能性も指摘されている。タイでは仏教と土着信仰(ピー=精霊信仰、バラモン教の影響、中国系道教など)が混在しており、神社の聖像が「位置を変えると運気が変わる」「特定の方角に向けると願いが叶う」という民間信仰が一部で残っている。
ワット・ドンマイファイ(チャルームプラキアット郡タペック町)の住職プラマーハダムロン・ティクッカウィリヨ氏は事件発生を確認後、「不安を払拭するため」として信徒とともに3体の聖像を元の神社内に戻し、清めの儀式を実施した。警察への正式な被害届出はまだなく、捜査は進んでいないが、地元では監視カメラの設置強化を求める声が出始めている。在タイ日本人観光客がパノムルン山遺跡を訪れる際の注目スポットの一つだったため、神社の警備体制改善が求められている。