タイのラーチャブリ県バーンポーン郡ターパー町にあるワット・ターパー(วัดท่าผา)が2026年4月30日(メーデー前日)、日本向け輸出グレードの「金バナナ」(タイ語でกล้วยหอมทอง、英語ではCavendish Gold Banana)を1房50バーツの「メリット作り」(寄進)として信者に配布した。バナナは千葉県成田市にあるタイ料理店「แก้วใจ(ケーオジャイ)」のオーナー夫妻が寄進したもので、日本輸出予定だったが直前のタイ猛暑で予定より早く熟したため寄進に切り替わった。
寄進されたバナナはトラック1台分で、最大房は重さ8kg近く、最小でも4kg程度の高品質品が並ぶ。寺院では女僧(メーチー)ブンルアン・トーンブントゥムを祀る庭園と説法堂前に数百房の金バナナが整然と並べられ、「ร่วมทำบุญหวีละ 50(1房50バーツの寄進)」と書かれた札が掲げられた。信者は寄進金を入れた後、ご利益として大ぶりのバナナを持ち帰る仕組みで、メーデーの労働の日に合わせた善行イベントとして地域でバズり、SNSでも話題となっている。
寄進したのはピムジャイ・ケーオジャイさん夫妻で、千葉県成田市の有名タイ料理店「ケーオジャイ」のオーナーだ。同店は成田空港利用のタイ人駐在員・観光客や日本人タイ料理ファンに知られた老舗で、タイ産バナナを日本のお店向けに輸入販売する事業も手がけていた。今回のロットは輸出基準に合わせた厳選品だったが、4月のタイ北部・中部で続いた40度超の猛暑により、収穫から発送までの期間で過熟が進む懸念が出たという。
夫妻は「日本に届く頃には熟しすぎてしまう」「廃棄するよりタイの寺院で多くの人に分け与えたい」と判断し、地元ラーチャブリの寺院に丸ごと寄進した。タイでは「過熟・規格外」になった農産物を寺院や慈善団体に寄進する文化が古くからあり、生産者・流通業者にとって「廃棄を避けてかつメリット(功徳)を得る」合理的な仕組みになっている。今回のような「日本輸出予定品が天候で寺院寄進に転換」という展開はタイの食品輸出と仏教文化が交差する独特のシナリオだ。
在タイ日本人にとっては、千葉県成田市の「ケーオジャイ」は帰国時のお土産・知人へのギフト購入で立ち寄ることがある店として知られる。今回の寄進エピソードは、日タイの食品流通が天候の影響でどう変化するか、タイ仏教の寄進文化がどう機能するかを示す事例として注目される。一方で、タイ北部の異常な猛暑は4/30時点で40度超の地点が多数あり、農産物の出荷タイミングや品質管理が厳しくなっていることが浮き彫りになった。