ミャンマー軍が2026年4月29日、カレン州(カイン州)メーカサ地域の鉱山にY-12型軍用機1機による空爆を実施し、タイ国境からわずか15キロメートルの地点で住民12人(男性11人・女性1人)が負傷した。負傷者全員がタイ側のカンチャナブリー県サンカブリー病院に搬送されて治療を受け、軽傷の11人は退院、重症1人は継続治療中だ。タイ-ミャンマー国境地帯における軍事衝突がタイの民間人医療体制まで巻き込む事態が改めて顕在化した。
空爆は2回に分けて実施された。1回目は4月29日午後2時30分、2回目は同日午後5時で、いずれも同じメーカサ鉱山区を標的とした。同鉱山地域はカレン民族同盟軍(KNLA)とカレン民族同盟(KNU)が支配下に置く地域内にあり、中国系民間企業が稼働させていた。負傷者の多くは現場で働いていた鉱山労働者で、ミャンマー国民・カレン民族・現地住民が混在していたとみられる。
メーカサ鉱山はタイ国境から地理的にわずか15kmの位置にあり、空爆の音と振動はタイ側のサンカブリー郡まで届いた。負傷者は徒歩・バイク・現地住民の車両でタイ側に搬送され、サンカブリー病院がフル稼働で受け入れた。タイ政府は「人道主義の原則に基づいた支援」として治療を引き受けたが、長年タイ-ミャンマー国境ではミャンマー軍と少数民族武装勢力の戦闘が続いており、軍事行動の余波がタイ領内に直接及ぶケースが増えている。
ミャンマーは2021年の軍事クーデター以降、軍政(SAC)と各民族武装勢力(カレン・カチン・シャン・ラカイン等)の内戦状態が続いており、Y-12型軍用機による爆撃は反政府勢力支配地域への定期的な手段となっている。中国系企業の鉱山が標的とされたことについては、軍政が「反政府勢力の資金源」と位置づけている可能性、または近隣の戦闘で鉱山が巻き込まれた可能性の両方が指摘されている。タイ外務省と国家安全保障会議(NSC)は今後、ミャンマー側に正式な抗議を行うかを検討する見通しだ。
在タイ日本人にとっては、カンチャナブリー県・ターク県・メーホンソン県・チェンライ県の国境エリアに観光や出張で出かける際の安全リスクが現実問題として浮上した。タイ-ミャンマー友好橋経由のメーソート(ターク)越境観光は近年人気だったが、ミャンマー側情勢の不安定化で外務省は「ミャンマー渡航は原則控える」「タイ側国境エリアの夜間移動は慎重に」と注意喚起している。サンカブリー郡周辺はナームトック・エラワン国立公園など人気観光地もあり、観光客が事態に巻き込まれないよう警備強化が求められる。