タイのチェンライ県メーチャン郡シーカム町バーンウィエンサ・ムー7で2026年4月30日、メーチャン警察署の捜査班が検問中に14歳の少年2人を逮捕した。押収したのはアイス(メタンフェタミン)とケタミンの計29.9キログラム、押収した路上で時価2,000万バーツ規模に達する大量密輸事件で、少年2人は「運び屋」(タイ語でมูลพล)として大人の組織に雇われて運搬していた疑いが持たれている。
事件の発端は検問所での職務質問だった。最初に止められた1台のバイクは少年2人乗り。続いて後方から別のバイクが急いで追いつき、運転手の股間付近に大きな黒いバッグを抱えていた。後続バイクは警察の姿を見て驚き、急ハンドルで逃げようとしたが、バランスを崩して路上に転倒した。警察はバッグを開けて中身を確認したところ、計29.9kgのアイスとケタミンが詰め込まれていたという。
チェンライ県は北部タイ・ミャンマー・ラオスの3カ国国境(黄金の三角地帯)に近く、東南アジアにおける麻薬密輸の主要ルートになっている。少年を「運び屋」として使う手口は、警察に捕まっても少年法で量刑が軽くなることを利用した組織的犯罪パターンで、ここ数年タイ全土で多発している。チェンマイ・チェンライの北部県では特に深刻で、貧困家庭の中学生が1回の運搬で数千〜数万バーツの謝礼で巻き込まれるケースが目立つ。
逮捕された2人の少年は警察に「組織から運んでくれと頼まれた」「報酬は受け取っていない」と供述したが、捜査当局は背後に大人の麻薬組織がいると見て、組織の上位構成員の特定を急いでいる。タイの少年法では14歳の少年は刑事責任を問われない(10〜15歳は軽い処分のみ、15〜18歳は減軽)が、雇い主の大人はタイ薬物法第15条(最大死刑)が適用される可能性がある。
在タイ日本人にとっては、北部国境エリア(チェンライ・チェンマイ・メーホンソン・パヤオ)への観光旅行で「異常な動きをするバイクは避ける」「夜間の山間部移動は控える」という安全意識が改めて重要になる事件だ。タイ警察と国境警備隊(ตชด.)は2026年に入って国境の検問体制を強化しており、4月だけで黄金の三角地帯から押収された麻薬の累計は推定300kg超に達するとされる。少年運び屋の量がそのうちの相当割合を占めている可能性も指摘されている。